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ニ ュ ー ス ・ お 知 ら せ

        テキストファイルの扱いについて

 一般にも視覚障害者にも、パソコンを使用して文書を作成するようになってから久しい時が経ちました。
 視覚障害者向けに書物を作ると言えば、現在ではパソコンを使った点訳が一般となりました。漢点字の世界でも同様で、パソコンを使わない漢点字書の製作は、考えられないと言っても過言ではありません。
 しかし本会の活動を始めたころは、パソコン点訳は、著作権法によって著しく制限を受けていました。新たに漢点字書を製作しようと計画する度に、著作権者の許可を得る必要があったのでした。
 ところが、本誌に転載させていただいたように、山内さんによれば、パソコンのテキストファイルは、視覚障害者向けに、あるいは文字を読むのに困難を感じる人に限って、制限なしに配布することができるようになったとのことです。
 このことを文化庁にお尋ねしてみますと、図書館や社協のような公共の施設に所属して活動している人が製作して、図書館や社協のような公共の施設が視覚障害者、あるいは文字を読むのに困難を感じる人に対して、電子データを提供することは妨げられない、とのことでした。どうやらこの電子データと呼ばれているものの中に、私どもがテキストファイルと呼んでいるデータが含まれるようです。
 そこでもう一つ分かったことは、今回の制度の変更は、この電子データの扱いの規定の変更が主なるものではなく、音訳データの扱いの規定の変更に伴ったものだということです。音訳データの扱いも、これまでは著作権法の制限が大変厳しかったのですが、この度、テキストデータと同様に、大幅にその制限が緩和されたとのことでした。
 ただし右に申しましたように、無条件に、大幅に制限が緩和されたのは、図書館や社協のような施設に所属している人が製作し、またその施設が配布することに限られるというものでした。
 そこでもう一歩進んで、図書館や社協のような施設に所属していない人は、音訳データや電子データを配布することはできないかとお尋ねしましたところ、文化庁に、グループで登録することによって、図書館や社協に所属しているのと同様に、音訳データや電子データを、視覚障害者や文字を読むのに困難を感じる人に配布することができるというお答えを得ました。
 次に、どのようにすれば文化庁に登録できるかとお尋ねしましたところ、文化庁のホームページに登録用紙があるので、それをダウンロードして、書式に従って記入して、申し込めばよろしいというお答えでした。
 最後に、登録の申し込みには制限はないかとお尋ねしましたところ、図書館司書の有資格者か、文化庁の主催する講習の修了者がメンバーにいることが必要とのお答えでした。
 また、サービスの対象となる視覚障害者については、障害者手帳を確認することが要件であること、またサービスの対象である視覚障害者、あるいは文字を読むのに困難を感じる人の名簿の作成が求められるとのことでした。
 図書館司書の有資格者、または文化庁の主催する講習の修了者がメンバーにいることや、サービス提供の対象者の名簿の作成は、音訳データや電子データが、サービスの対象者以外に渡らないようにすることを目的にしているとのことでした。
 現在文化庁に登録している団体を検索しますと、その大半が音訳のグループのようでした。
 私見ですが、テキストファイルが大幅に視覚障害者に配布されるようになることを想定しますと、一見、漢点字の必要性が薄くなるように思われます。しかしその場合、テキストファイルをどのように使用するかと言えば、パソコンの音声装置で、音声読み上げをさせることになりそうです。
 しかしそのような使用法で音声を聴いて理解できる装置は、現在はまだ存在しません。今世の中に存在する文書をテキストファイルにして音声装置に読み上げさせるとして、それが聞き取れるものがどれだけあるか、極めて疑問です。
 なおさら漢点字へのニーズが高まって来ると、予想しています。(岡田)

E-MAIL: okada_tr_eib@ybb.ne.jp
横浜漢点字羽化の会、http://www.ukanokai-web.jp/
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