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ニ ュ ー ス ・ お 知 ら せ

      ご報告とご案内    岡田 健嗣
 明けましておめでとうございます。
 2020年となりました。今夏、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、海外からのお客様が多数お出でになられます。皆様の内にも、楽しみにしておられる方が多数お出でになるはずです。成功をお祈り申し上げます。

 1 『萬葉集釋注』第8巻
 現在、伊藤博著『萬葉集釋注』(集英社文庫)全10巻を、毎年1冊漢点字訳して、横浜市中央図書館に納入しております。今年度はその第8巻、「万葉集」の巻第15と巻第16が収録されております。
 まだ全巻を見渡すことができませんので、詳細をご紹介するまでには至りませんが、巻き第15の初めは、遣新羅使が残した御歌が収録されております。
 伊藤先生の解説によりますと、新羅に派遣された使節の作った歌を、1つのストーリーとして編集されたものと言われます。百年後の『伊勢物語』や『大和物語』などの歌物語に通じる物語性を示していると言われます。
 冒頭の3首をご紹介致します。

三五七八
 武庫の浦の 入江の洲鳥 羽ぐくもる 君を離れて 恋に死ぬべし
 むこのうらの いりえのすどり はぐくもる きみをはなれて こひにしぬべし
 【原文】
 武庫能浦乃 伊里江能渚鳥 羽具久毛流 伎美乎波奈礼弖 古非尓之奴倍之

三五七九
 大船に 妹乗るものに あらませば 羽ぐくみ持ちて 行かましものを
 おほぶねに いものるものに あらませば はぐくみもちて ゆかましものを
 【原文】
 大船尓 伊母能流母能尓 安良麻勢婆 羽具久美母知弖 由可麻之母能乎

三五八〇
 君が行く 海辺の宿に 霧立たば 我が立ち嘆く 息と知りませ
 きみがゆく うみへのやどに きりたたば あがたちなげく いきとしりませ
 【原文】
 君之由久 海邊乃夜杼尓 奇里多々婆 安我多知奈氣久 伊伎等之理麻勢

 「武庫の浦」から船に乗って海を渡ろうとするところから話は始まります。残された妻の心の吐露と、新羅へ向かう人々の思いを、歌物語の進行として編まれていると言われます。編者は大伴家持と推定されています。家持はこの後、奥羽地方に左遷されて先の地で没します。ある意味で『萬葉集』は、悲しみを蔵した書と言えるのかもしれません。

 2 岡田メモ
 『常用字解』の音訳も半ばを過ぎようとしておりますが、その中で、漢字を説明する必要に迫られました。その説明にも2通りの方式が求められました。1つは、「1文字の読みと意味」の説明、もう1つが「字形」の説明です。字形で意味を説明することはできませんし、意味で字形を説明することもできません。どうしてもこれらは2つに分ける必要のあることが分かって来ました。
 そこでメモとして、読み・意味からの説明をまとめようとして作って来た「岡田メモ」が、5千字に達しようとしております。
 本会のホームページ(http://www.ukanokai-web.jp/) にアップロードされておりますので、ご遠慮なくご参考に供していただければ幸いに存じます。月に1度更新するようにしております。
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