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ニ ュ ー ス ・ お 知 ら せ

      ご報告とご案内    岡田 健嗣

 1 新型コロナ・ウィルス・covid-19
 本誌機関誌『うか』の発行も、今回の新型コロナ・ウィルスの流行の波を諸に受けて、その作業が行えない状態に屡々見舞われて、前号に引き続いて、誠に間遠となってしまいました。
 しかしながらワクチンの接種の普及と、理由は明らかではありませんが、ここのところの感染者の減少に伴って、長く出されたままであった緊急事態宣言も解除されることとなり、取りあえず発行できそうだという感触を得ることができて、会員の皆様のご協力をいただいて、このように発行することができることになりました。
 会員の皆様、大変ありがとうございます。
 今後のことは予想がつきませんが、季刊の発行を目指して参る所存でおります。
 どうぞよろしくお願い致します。

 2 『萬葉集釋注』第10巻
 この10年をかけて進めて参りました、伊藤博著『萬葉集釋注』(集英社文庫)の漢点字訳も、今年が最後の第10巻(巻19・巻20)の製作となりました。全14分冊となります。
 今年度の末までには完成して、横浜市中央図書館に納めさせていただく予定でおります。
 思い返せば漢点字の書物の製作の活動を始めるころ、ほとんど夢のように「万葉集」の漢点字書ができたらと思ったことを思い出します。
 それが今年いよいよ叶うと思いますと、誠に感慨一入というほかありません。
 会員の皆様のご協力に、深く感謝申し上げます。

 3 『常用字解』の音訳版
 本会では約10年前に、『常用字解』の漢点字版を完成致しました。
 漢点字版を製作しております内に、これは音訳も可能かもしれないという考えが、頭に浮かびました。それは、漢点字版で「字式」という方法で字形を表すことができて、これまで字形を理解することに困難を感じていた視覚障害者に、その道を開くことができたという手応えを感じたからです。
 また現在の視覚障害者の多くが中途で視覚を失った方ですので、漢字の知識はお持ちでありながら、漢字の世界から引き離されるという境遇に置かれている方々です。このような方々に、音訳書としての漢字の解説書をお届けできるなら、何ほどか思考の羽ばたきを感受していただけるのではなかろうかと考えました。
 10年という年月を経て、この度本文の音訳が完了する運びとなりました。もう僅かではありますが、最後の仕上げという一山を超えなければいけません。
 お集まり下さいました音訳者の皆様には、深く御礼申し上げます。
 最後の登坂、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 4 『岩波古語辞典』
 東京漢点字羽化の会では、『岩波古語辞典』を製作して参りましたが、この度「マ行」までの本文が出来上がりました。
 これは電子版として、パソコンとピンディスプレイを接続して検索していただく方法で使用していただきます。
 本文の残りの「ヤ・ラ・ワ行」も入力は済んでおります。また古典の参考資料として必要な動詞・助動詞の活用表や、万葉仮名の一覧など、これまで視覚障害者には別世界の情報であったものも、今少しお待ちいただけばお手にしていただけます。
 ご期待下さい。
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