漢点字講習用テキスト |
初級編 第7回 |
3 複合文字 (1)
(前回の続きです。)
※ 「」(ウ冠)を部首として含む文字。(つづき)
・「完」とそれを含む文字
(20) 完
カン ガン
まっとう‐する おわ‐る
「ウ
」の下に「元」を置いた形の文字です。家の中がしっかりとしていることを表しています。屋根の下に、強い絆で結び付いた家族が、充実した生活を営んでいることを意味しています。漢点字では、「
(ウ冠)」に「
(元)」で表します。
「完全」「完了」「完璧」「完済」「完結」
(21) 院
イン かき
「こざと
」の右側に「完」を置いた形の文字です。大きな屋敷に巡らされた垣根を表しています。さらに、垣を巡らした大きな庭と建物をも意味するようになりました。平安時代には、退位した天皇が、権力を保持し続けるために、「院」と呼ばれる建物に入って、政治を動かし続けました。これを、「院政」と呼んでいます。現在では、公共の目的を持った建物を意味するようになっています。漢点字では、「
(こざと偏)」と「
(完)」で表します。
「病院」「産院」「大学院」「美容院」「衆議院」「参議院」
※ ワ冠を部首として含む文字
(22) 軍
グン つわもの
「ワ
」の下に「車」を置いた形の文字です。「車」は、戦車のことで、戦車を連ねて戦う姿を象っています。漢点字では、「
(ワ冠)」に「
(車)」で表します。
「軍隊」「軍票」「軍旗」「陸軍」「海軍」「空軍」「正規軍」
※ 「十」を部首として含む文字
(23) 計
ケイ はか‐る はか‐らう
「言偏」に「十」の形の文字です。数を数えたり、ものごとを考えたり、考えを組み立てたりする意味を表します。また、数量を量る道具や装置も表します。漢点字では、「 (
偏)」と「
(十)」からできています。
「計算」「計画」「計略」「合計」「総計」「時計」「体温計」
(24) 早
ソウ サ はや‐い
はや‐まる はや‐める
「日」の下に「十」の形の文字です。未明の、薄暗い早朝を意味しています。日がやっと顔を出したところです。漢点字では、「 (
)」に「
(十)」で表します。
「早朝」「早春」「早晩」「早速」「早苗」「早稲」「早引け」
(25) 協
キョウ かな‐う
あわ‐せる
「十」に「力」を三つ三角形に置いた形の文字です。大勢の人が力を合わせて、一つのことを行うことを意味しています。漢点字では、「 (十)」と「
(力)」で表します。
「協力」「協同組合」「協議会」「漢点字協会」
(26) 直
チョク ジキ す‐ぐ
なお‐い なお‐す ただ‐ちに
「十」の下に「目」を置き、その左下をL字 型の線で囲った形の文字です。直接、真っ直ぐ、直ちにの意味があります。漢点字では、「 (十)」と「
(目)」で表します。
「直面」「直接」「直線」「直球」「直立不動」
(27) 朝
チョウ あさ あした
この文字は、左側、縦に「十日十」として、右側に「月」を置いた形です。左側は元、草の葉の間から朝日の昇る形を表したものでした。また右側の「月」は、元は「月」ではありませんでした。一日の始め、あさ≠意味しています。また、朝満ちてくる潮のこともいみします。「一朝」と言って、何かの出来事や、仕事に向き合う、また、中国や日本の政治の中心、「王朝」、「朝廷」を指します。漢点字では、「 (十)」と「
(月)」で表して、「日」は省略されます。
「朝食」「朝刊」「朝廷」「王朝」「明朝体」「一朝一夕」「朝湯」「朝寝」
・「世」とそれを含む文字
(28) 世
セイ セ よ
元々は「十」を三つ並べた形、三十≠表す形の文字です。親が子供を育て上げる年月、一世代三十年を意味しています。漢点字では、「 (十)」と、訓の「よ」の「
」からできています。
「世代」「世界」「世論」「世の中」
(29) 葉
ヨウ は
「草冠」、「世」、「木」が、縦に並んだ形の文字です。木や草の葉≠フことです。また、薄くぴらぴらしたものも指します。もう一つ大事なこととして、古来我が国では、口から発せられるものを〈ことのは〉と呼んでいました。漢字は〈言の葉〉と当てて、現在の「言葉」になりました。「葉」は、幅広く用いられます。漢点字では「 (草冠)」と「
(世)」で表されて、「木」は、省略されます。
「葉脈」「葉緑素」「針葉樹」「落葉樹」「広葉樹林」「紅葉」「木の葉」「言葉」「葉書」「三葉の写真」「樋口一葉」
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