漢点字講習用テキスト |
初級編 第18回 |
3 複合文字 (1)
7.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (7)
この回が、初級編の「漢数字および第一基本文字を部首とした文字」の最後です。
(115) 道 ドウ トウ みち
「首 」に「しんにょう」を加えた形の文字です。「しんにょう」は、ものの動く様子を表す部首で、ここでは、人々が行くみちを意味します。みち≠ヘ、実際に人が行き交いをするところでもあり、そこから人の行いの基準、道徳の意味が生じました。また、宗教、芸術、武芸、芸能などの流れを指す語としても用いられます。漢点字では、「(しんにょう)」と「(首)」で表されます。
「道路」「道徳」「道教」「街道」「北海道」「神道」「柔道」「剣道」「茶道」「華道」「道草」「獣道」
(116) 貧 ヒン ビン まず‐しい
「分」の下に「貝」を置いた形の文字です。「貝」は、財産や貨幣を表していて、「分」はそれを分けて費やす様子を表しています。まずしい≠ニ読んで、金銭や家財の乏しい人を指します。また、才能や学問の乏しい様子をも表します。さらに、ものの少なくなった状態の意味にも用いられます。漢点字では、「(分)」と「(貝)」で表されます。
「貧窮」「貧乏」「貧苦」「貧血」「清貧」「救貧」
(117) 防 ボウ ふせ‐ぐ
「こざと偏」の右側に「方」を置いた形の文字です。「方」は、左右に張り出した形を表していて、襲って来る敵や、氾濫する水を堰き止める意味を表しています。「こざと偏」は、土を盛った形を象っていて、これも「方」と同様の意味を表します。漢点字では、「(こざと偏)」と「(方)」で表されます。
「防衛」「防御」「防火用水」「堤防」「予防接種」
(118) 明 メイ ミョウ ミン あか‐るい あか‐らむ あか‐い あ‐ける あき‐らか
「日」の右側に「月」を置いた形の文字です。「日」は、元来は日ではなく、窓を象ったものでした。夜、窓から月の光が射して、部屋の中が明るく照らし出される様子を表す文字です。訓読みのあかるい、あからむ≠ヘ、文字通り光に照らされて明るくなることを表しています。あける≠ヘ、夜が明ける、年が明けるの意味です。あきらか≠焉A光に照らされて、よく見えることを意味します。あかるい、はっきりしている、道理がよく分かっている、ものを見分ける力がある等の意味があります。音読みのミン≠ヘ、中国の王朝の名称です。漢点字では、「(日)」と「(月)」で表されます。
「明瞭」「明白」「明快」「明敏」「明晰」「明日」「賢明」「未明」「文明」
※「車」を部首として含む文字二つ。
*これまでに「車」を部首として含む文字、「軍 、転 」をご紹介しました。後二つ、第一基本文字で構成される文字があります。
(119) 庫 コ ク くら
「广」の下に「車」を置いた形の文字です。「广」は、建物の屋根と壁を象っていて、「車」は戦車を表しています。戦車を保管する建物が、この文字の意味です。そこから、色々なものを保管しておくくら≠ニして用いられます。庫裏(くり)≠ニは、寺の台所の意味です。漢点字では、「(广)」と「(車)」で表されます。
「庫裏」「倉庫」「車庫」「書庫」「冷蔵庫」
(120) 連 レン つら‐なる つら‐ねる つ‐れる つれ
「車」に「しんにょう」を加えた形の文字です。車が連なって行く様子を表しています。列を連ねて行く、転じて、関わり合いになる。つれる≠ニ読んで、人を連れて歩く、連れを伴って行く、そこからさらに、友とか仲間の意味に派生しました。漢点字では、「(しんにょう)」と「(車)」で表されます。
「連行」「連動」「連座」「連中」「連帯」「国際連合」「歌は世に連れ、世は歌に連れ」
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