漢点字紹介(4)
4. 漢点字のご紹介
@ 第1基本文字(1マス漢点字)(承前)
前号に引き続き、1マスの漢点字をご紹介します。
漢点字符号をかな読みした場合の、50音に従ってご紹介します。
カ行
カ  
(12)  金 キン コン かね
「 」は、「金」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、金の入った文字を構成します。「金」は、金属の名前や金属製品を表します。
例:   銀   銅   鉄   針   鋼
キ  
(13)  木 ボク モク き こ
「 」は、「木」を表す漢点字符号です。「 」や」 」の形で、多くの文字に含まれます。
例:   林   森   相   想   机
ク  
(14)  草 ソウ くさ
「 」は、「草」を表す漢点字符号です。「 」は、草冠として多くの文字に含まれます。
例:   菜   薄   荷   芳
* 「 木」と「 草」は、木偏・草冠として用いられますが、木偏は樹木の名前と木製品や木にまつわる文字を形成します。草冠も同様に、草の名前と草を原料にした製品や草にまつわる文字、あるいはその他から派生した文字を形成します。漢点字では、樹木の名・草の名は、原則として一括した漢点字符号を使用することにしました。従ってこの「 、 」の漢点字符号は、原則として樹木や草の名前には用いられません。
ケ  
(15)  犬 ケン いぬ
「 」は、「犬」を表す漢点字符号です。「 」の漢点字符号は、獣偏として、多くの文字に含まれます。また「 」の形で、「犬」の含まれる文字を形成します。
例:   狭   狂   独   献   状   然
コ  
(16)  子 シ こ
「 」は、「子」を表す漢点字符号です。「 」、「 」の形で、「子」を含む文字を構成します。
例:   季   享   好   孝
サ行
サ  
(17)  都 ト ツ みやこ
「 」は、「都」を表す漢点字符号です。「都」の文字には「おおざと」が含まれています。そこで漢点字では原則として、「 」の形で「こざと」を、「 」の形で「おおざと」を表します。
例:   阿   院   限   郡   部   郎
シ  
(18)  市 シ いち
「 」は、「市」を表す漢点字符号です。「市」を含む文字に用いられるとともに、なべぶたをとれば「巾」になりますので、「巾」の含まれる文字にも用いられます。
例:   姉   肺   帳   布   幅
* 「巾」を単独に用いる場合は、「  」の漢点字符号が当てられます。「布巾」は「    」、「頭巾」は「    」となります。
ス  
(19)  発 ハツ ホツ はなつ たつ
「 」は、「発」を表す漢点字符号です。「 」の漢点字符号は、「癶(はつがしら)」を表します。また「 」で、「発」を含む文字を表します。
例:   登   廃
セ  
(20)  食 ショク ジキ たべる くう
「 」は、「食」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「食偏」を表します。
例:   飲   館   飯   飽
* 「食」には「良」の文字の形が含まれますが、漢点字では「食」と「良」とは別字と捉えます。
ソ  
(21)  馬 バ うま ま め
「 」は、「馬」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「馬」を含む文字を表します。
例:   駅   驚   験   篤
タ行
タ  
(22)  田 デン た
「 」は、「田」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「田」の文字を含む文字を表します。
例:   男   町   畑   胃   細   思
* 「田」は耕作地を象形化した文字ですが、「細、思、胃」などの「田」は耕作地に由来してはいません。しかし、漢点字ではその形を取って、「 、 」で表しました。
チ  
(23)  竹 チク たけ
「 」は、「竹」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「竹冠」を表します。
例:   管   筋   箱   等
* 「竹冠」のつく文字は、多く竹製品を表しますが、「笹、篠」のように竹の名前を表す文字もあります。漢点字では先にご紹介した「木、草」と同様に、後にご紹介する植物の名前を表す符号が用いられます。
ツ  
(24)  土 ド つち
「 」は、「土」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「土」を含む文字を表します。
例:   域   地   社   壁
テ  
(25)  手 シュ て
「 」は、「手」を表す漢点字符号です。「 」の形で「手偏」の文字を、「 」の形でその他の「手」を含む文字を表します。
例:   持   批   抱   挙   掌
ト  
(26)  戸 コ と
「 」は、「戸」を表す漢点字符号です。「 」の形で「戸冠」を含む文字を表します。
例:   所   戻   扇   肩
ナ行
ナ   
(27)  人 ジン ニン ひと
「 」は、「人」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「人偏」を含む文字を表します。また「 」の形で、他の「人」の形を含む文字を表します。
例:   仰   僕   価   値   臥   来
* 「来」は、旧字の「來」の文字の中に「人」の形が含まれているところから、「  」の漢点字符号となりました。ただしこの「人」の形は、「ひと」を意味してはいません。実って穂を垂れた穀物(麦)を象ったものです。
(28)  仁 ジン
「 」は、「仁」を表す漢点字符号です。「 」の形で、二つ目の「人偏」を表します。
例:   作   使   任   仏
* 「人偏」を含む文字は数多くあります。そこで漢点字では「糸偏、言偏」と同様に、二つの符号を用意しました。「 」を「第一人偏」、「 」を「第二人偏」と呼びます。
ニ   
(29)  水 スイ みず
「 」は、「水」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「さんずい」を表します。また、「 」の形で、「水」の文字を含む文字を表します。
例:   河   池   海   湖
(30)  氷 ヒョウ こおり こおる ひ
「 」は、「氷」を表す漢点字符号です。「 」の漢点字符号は、二つ目の「さんずい」として用いられるとともに、「にすい」としても用いられます。また「 」の漢点字符号は、「氷」や「にすい」を含んだ文字を表します。
例:   汗   漏   滑   次   凍   寒
* 「冫(にすい)」は、「氷」に由来する部首です。これを含む文字は比較的少ないことと、「さんずい」を含む文字が大変多いことから、「 」を「にすい」と二つ目の「さんずい」の符号として用います。そこで「 」を「第一さんずい」、「 」を「第二さんずい」あるいは「にすい」と呼びます。従って漢点字からは「 」の符号が、「にすい」であるか「さんずい」であるかを判断することはできません。
ヌ  
(31)  力 リョク リキ ちから
「 」は、「力」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「力」を含む文字を表します。
例:   協   男   勉   労
ネ  
(32)  示 シ ジ しめす
「 」は、「示」を表す漢点字符号です。「 」の形で「示偏」を表します。また「 」の形で、「示」を含む文字を表します。
例:   神   社   礼   宗   祭
* 「示偏」によく似た形の部首に「衣偏」があります。後述の通り、漢点字ではこれも「 」で表します。
ノ  
(33)  私 シ わたくし
「 」は、「私」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「ノ木偏」や「ノ木」が上にある文字を表します。また「 」の形で、「ノ木」を含む文字を表します。
例:   科   種   秋   委   季   秦
ハ行
ハ  
(34)  走 ソウ はしる
「 」は、「走」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「走にょう」を表します。また「 」の形で、「走」を含む文字を表します。
例:   趣   赴   超   越   徒
ヒ   
(35)  進 シン すすむ
「 」は、「進」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「しんにょう」を表します。
例:   道   送   迎   連   点   烈
(36)  火 カ ひ
「 」は、「火」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「火偏」を表します。また「 」の形で、「火」を含む文字を表します。また「 」は、連火または列火(4つ点)を表します。連火は、火を燃やして煮炊きする形を表して、「火」に由来する部首です。
例:   煙   焼   灯   炎   秋   燃   点   烈
フ  
(37)  女 ジョ ニョ おんな
「 」は、「女」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「女」を含む文字を表します。
例:   姉   妹   安   委   要
ヘ  
(38)  玉 ギョク たま
「 」は、「玉」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「玉」を含む文字を表します。「玉」は部首となるとき、しばしば「王」の形に変化します。
例:   国   璽   宝   現   珠   珍
ホ  
(39)  方 ホウ かた
「 」は、「方」を表す漢点字符号です。「 」の形で「方偏」を、「 」の形で「方」を含む文字を表します。
例:   旗   施   放   訪   芳
マ行
マ  
(40)  石 セキ シャク いし
「 」は、「石」を表す漢点字符号です。「 」の形で「石偏」を、「 」の形で「石」を含む文字を表します。
例:   研   硬   磁   硝   碧
ミ  
(41)  耳 ジ みみ
「 」は、「耳」を表す漢点字符号です。「 」の形で「耳偏」を、「 」の形で「耳」を含む文字を表します。
例:   取   職   聖   聴   聞   葺
ム  
(42)  車 シャ くるま
「 」は、「車」を表す漢点字符号です。「 」で「車偏」を、「 」で「車」を含む文字を表します。
例:   軽   転   軟   軍   庫   連
メ  
(43)  目 モク め
「 」は、「目」を表す漢点字符号です。「 」の形で「目偏」を、「 」の形で「目」を含む文字を表します。
例:   眼   睦   相   督
* 漢点字では「目」に由来しない文字の中に「目」の形が含まれる場合にも、「 、 」の形を用います。
例:   県   真   直   面
モ  
(44)  門 モン かど
「 」は、「門」を表す漢点字符号です。「 」の形で「門構え」を表します。
例:   開   閉   閑   関   間   聞
ヤ行
ヤ  
(45)  病 ビョウ ヘイ やまい やむ
「 」は、「病」を表す漢点字符号です。「 」の形で「病垂れ」を表します。
例:   痛   疲   癖   痢   療
ユ  
(46)  行 ギョウ コウ ゆく おこなう
「 」は、「行」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「行人偏」と「行構え」を表します。
例:   後   得   律   街   衡   術
ヨ  
(47)  店 テン みせ
「 」は、「店」を表す漢点字符号です。「 」の形で「麻垂れ」を表します。
例:   庫   広   庶   席   磨
ラ行
ラ   
(48)  月 ゲツ ガツ つき
「 」は、「月」を表す漢点字符号です。「 」の形で「月偏」を、「 」の形で「月」を含む文字を表します。
例:   能   服   朋   期   明
(49)  肉 ニク しし
「 」は、「肉」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「肉月」を表します。
例:   肝   脚   脳   胃   筋   肩
* 部首の「月」の形は、天体の「月」と「肉」に由来しますが、「舟」に由来する「月」も沢山あります。しかも天体の「月」、「肉月」、「舟」に由来する「月」の区別は、必ずしも判然としません。漢点字では原則として「 、 」で「月」と「舟」に由来する「月」を、「 、 」で「肉月」を表します。しかし「  (有)」と「  (朝)」は漢点字符号の「月」と「肉月」が反対になっています。漢点字の創作時にこのようになりましたが、既に長年の膾炙によるものとご了解下さい。同様の異同は他にも見られます。
リ   
(50)  分 ブン フン わける わかつ
「 」は、「分」を表す漢点字符号です。「分」の文字は、「八」と「刀」でできていますが、「 」は「分」の文字全体を表します。「 」の形で「八頭」や三角屋根の形を表します。また「 」や「 」の形は、「分」を含む文字も表します。
例:   会   舎   全   貧   粉   雰
(51)  日 ジツ ニチ ひ
「 」は、「日」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「日」を含む文字を表します。また「曰(エツ)」を含む文字も表します。
例:   映   晶   曜   是   間   書
ル   
(52)  性 セイ ショウ さが
「 」は、「性」を表す漢点字符号です。「 」の形で「立心偏」を表します。また「 」の形で、「下心」を表します。
例:   悦   情   悩   恭   添   慕
(53)  心 シン こころ
「 」は、「心」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「心」を含む文字を表します。
例:   恐   感   思   志
レ   
(54)  口 コウ ク くち
「 」は、「口」を表す漢点字符号です。「 」の形で、「口偏」を、「 」の形で、「口」を含む文字を表します。
例:   兄   咲   史   呈   加   器
(55)  囲 イ かこむ
「 」は、「囲」を表す漢点字符号です。「 」の形で「国構え」を表します。
例:   困   因   団   国   回
ロ   
(56)  十 ジュウ とお
「 」は、漢数字の「十」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「十」を含む文字を表します。
例:   友   布   直   有   計   針
* 漢点字では、「布、友、有」の上の部分、カタカナの「ナ」に似た形の部分を、「 (十)」で表すことにしました。
(57)  止 シ とめる とまる やむ
「 」は、「止」を表す漢点字符号です。「 」や「 」の形で、「止」を含む文字を表します。
例:   歩   歯   肯   祉   渋
以上、漢点字の最も基本的な文字、1マスで表す第1基本文字・57字をご紹介しました。
次回からは、この第1基本文字で構成された文字と、2マスで表す基本文字をご紹介します。 |