漢点字講習用テキスト |
初級編 第3回 |
2 基本文字 (2)
2. 第一基本文字 (2)
〈第一基本文字(一マス漢点字)〉の続きを勉強しましょう
(13) 金 キン コン かね
黄金の意、まばゆく光っている形です。カネと訓読する場合は、おかねを意味します。また、最も大切なものの意にも用いられます。部首としては、金属の名前や、金属に関係する文字を表します。
「色」「黄」「星」「科玉条」「は天下の回りもの」
(14) 木 モク ボク き こ
植物の木を象った文字です。部首として、木の名前、木を素材としたものを表します。
「樹」「材」「星」「肋」「並道」「場」「添え」「挽き」
(15) 草 ソウ くさ
草の根と茎と葉を表した文字です。墨字では草冠の下に早の形ですが、漢点字では「 」の形で〈草冠〉に用いられます。意味は、草、花、草を素材とした作物などを表します。
「原」「根皮」「書体」「民」
(16) 犬 ケン いぬ
犬の姿を象った文字です。部首では、〈獣偏〉として、主に肉食動物を表します。漢点字でも同様に、〈獣偏〉に用います。
「忠」「盲導」「も歩けば棒に当たる」
(17) 子 シ ス こ ね
身体の割に頭の大きな赤ちゃんを象った字です。音はシとともにスと読むことも多くあります。十二支のネズミの意味もあります。部首として沢山の文字に含まれます。
「孫」「利」「椅」「扇」「供」「親」「 」
(18) 都 ト ツ みやこ
国の中心の都市です。この文字に含まれる部首は〈おおざと〉ですが、漢点字では、「 」(こざと)、「 」(おおざと)と、二つの働きをします。
「京」「東京」「合」「の西北」
(19) 市 シ いち
ものを売り買いするために人の寄り集まる所です。各地にあるバザールや金融商品を取引するマーケットも含まれます。現在では行政区画の〈市〉の意味が強くなっています。
「場」「 」「横浜」「場」「蚤の」
(20) 発 ハツ はな‐つ た‐つ
ものごとを始めるという意味です。漢点字では「 」、〈はつがしら〉に用います。
「出」「 」「送」「育」「車」
(21) 食 ショク た‐べる く‐う
食物を口に入れてたべることです。部首では、〈食偏〉として用いられます。
「事」「外」「 動物」「べ物」「 い」
(22) 馬 バ メ マ うま
動物のウマです。たてがみを靡かせて走る姿を象った文字です。部首では、〈馬偏〉として、交通や騎馬・軍事に関わる文字を作ります。
「荷車」「競」「駿」「絵」「 」「方」「縞」
(23) 田 デン た
綺麗に区画されたたんぼです。古く中国では、はたけの意味にも使われました。部首として多くの文字に含まれます。〈田づくり〉では、農業に関わる意味を表しますが、必ずしも〈田〉の意味を表すとは限りません。
「水」「地」「畑」「稲」
(24) 竹 チク たけ
植物のタケです。タケの枝が茂っている形を表しています。部首では、〈竹冠〉として、タケの名前や、とりわけタケを素材とした作物、多くは農具の名前に含まれます。
「 の友」「林」「の」「 」
(25) 土 ド ト つち
土を盛った形を象った文字です。もとは神を祀ったヤシロの意でしたが、後に、生産の大本であるツチ、土地の意味になりました。それから、領土、国土の意味にも使われます。部首としても多くの文字に含まれます。
「地」「国」「星」「器」「焦」「塊」「 工事」「いじり」
(26) 手 シュ て た
人の手を象った文字です。手で何かをするという意味で、「…をする人」という意味にも使われます。部首では主に〈手偏〉として、動作をしたり、働きかけたりの意味を表します。
「選」「運転」「断」「術」「紙」「相」「向ける」「折る」
(27) 戸 コ と へ
家の戸口を象った文字です。家、戸口、扉、家の数の単位を表します。部首では、〈戸冠〉あるいは〈戸垂〉となります。
「籍」「別訪問」「 建て」「口」「井」「惑い」「 」
(28) 人 ジン ニン ひと
ヒトの姿を象った文字です。部首では、多く〈人偏〉として、ヒトに関わること全般の意味を表します。
「類」「間」「日 」「気」「 」「出」
(29) 仁 ジン ニ ひと
墨字では人偏に漢数字の二の形で、人が互いに認め合い、助け合っていることを表した文字です。漢点字では、二つ目の〈人偏〉として用いられます。
「王」「徳」「術」「義礼智信」「巧令色鮮矣」
(30) 水 スイ みず
ミズの流れる形を象った文字です。部首では〈さんずい〉として、ミズに関わる意味を表します。
「流」「泳」「星」「道」「 」「 」「 鉢」
(31) 氷 ヒョウ ヒ こおり こお‐る
水が冷えて固まったもの、「こおり」を象った文字です。墨字の部首では〈にすい〉として用いられますが、漢点字では、二つ目の〈さんずい〉として、また〈にすい〉として用いられます。
「結」「点」「河」「山」「柱」「 」
(32) 力 リキ リョク ちから
腕にチカラを入れた形を象った文字です。一所懸命やる、力を込めて努力するという意味があります。
「入」「動」「 電」「点」「 」
(33) 示 ジ シ しめ‐す
神様へ捧げ物をする祭壇を象った文字です。部首では〈示偏〉として、神事や祭祀に関わる意味を表します。
「指」「提」「教」「掲板」
(34) 私 シ わたくし
ワタクシ一人の、個人の、身勝手な、という意味を含んだ文字です。「公」の対語の意味合いを強く含んでいます。漢点字では「 」の形で、〈ノ木偏〉として用いられます。
「事」「 」「 」「案」「公の別」「事」
(35) 走 ソウ はし‐る
足を早く運んで走る姿を象った文字です。部首では〈そうにょう〉として用いられます。
「奔」「逃」「競」「滑」「小り」
(36) 進 シン すす‐む
墨字では、「しんにょう」に「隹(ふるとり)」の形で、先へすすむという意味を表しています。部首の〈しんにょう〉は、「すすむ」という動きを表しています。漢点字でも、「 」の形で、〈しんにょう〉として用いられます。
「歩」「化論」「出 行」「行 」「前へめ」
(37) 火 カ ひ
火がめらめらと燃えている様子を象った文字です。部首では〈火偏〉として、火や熱や煮炊きに関わる意味を表します。また、文字の下のところに四つの点を配置した〈烈火〉として、火であぶる形、火を点ける形を表します。漢点字でも「 」で〈火偏〉を、「 」で〈烈火〉を表します。
「星」「災」「消」「点」「着」「 電」「の 」「の用心」
(38) 女 ジョ ニョウ おんな め
女性の柔らかな姿を象った文字です。部首では、多く〈女偏〉として女性、やさしさ、柔らかさなどの意味を表します。
「性」「 大」「男」「 」「房」「の」
(39) 玉 ギョク たま
きれいに磨いた堅い大理石を象った文字と言われています。また、価値の高いもの、「ギョク」と読んで接頭語として、相手への尊敬語としたりします。「タマ」と読んで、「まるいもの」「まるく光る宝物」の意味にも用いられます。
「座」「宝」「珠」「 」「に瑕」
(40) 方 ホウ かた
左右に真っ直ぐ伸びる形を象った文字です。「ホウ」と読んで、方向、方法、四角い形の意味を表し、「カタ」と読んで、相手や第三者を婉曲に呼ぶなどの意味に用いられます。
「法」「向」「角」「 」「 」「位」「漢」「処箋」「…様」
(41) 石 セキ シャク コク いし
大きな石を象った文字です。部首としては、硬いもの、壊れないもの、不毛なものの意味を表します。「コク」と読んだ場合は、重さや容積の単位に用いられます。
「材」「岩」「仏」「 流」「磁」「禄高 」「蹴り」
近似文字
(1) 未 ミ いま‐だ ひつじ
「木」の〈近似文字〉です。漢文訓読で、「いまだ…ず」と読まれる文字です。また、十二支のヒツジの意味もあります。墨字では「木」の横棒の上に、短い横棒を加えた形です。
「 熟」「 成年」「 完成」
(2) 末 マツ すえ
「木」の〈近似文字〉です。ものの終わりの方の意味があります。墨字では「木」の横棒の下に短い横棒を加えた形です。
「月 」「期 」「 摘花」
(3) 本 ホン もと
「木」の〈近似文字〉です。「木」の根本に小さな横棒を交差させた形です。木の根の意味で、ものごとの根本、本質を表しています。また、書物の意味でも用いられます。
「 質」「根 」「日 」「日の 」「 屋」
(4) 由 ユ ユウ ユイ よし
「田」の〈近似文字〉です。くびの細いツボの形を表しています。
「自 」「理 」「 縁」「 緒」「…との 」
(5) 曲 キョク ま‐がる ま‐げる
「田」の〈近似文字〉です。「由」の縦棒が二本になった形です。まがる・まげるの意味から、音楽の曲想の意味になります。
「湾 」「 線」「楽 」「 阿世」「 げ物」「へそ がり」
(6) 永 エイ ヨウ なが‐い
「氷」の近似文字です。水が曲がりくねって細く長々と流れる様子を象った文字です。時間的にながいことを表します。
「 久」「 続」「 遠」