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漢点字講習用テキスト
初級編 第8回


    3  複合文字 (1)

 3.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (3)

 ・「古」とそれを含む文字
 (30)  古   コ  ふる‐い いにしえ
 「十」の下に「口口」を置いた形の文字です。古い、干からびた頭蓋骨、先祖の頭の骨を象った文字と言われます。古いもの、昔から継がれているもの、あるいは古い時代を意味します。漢点字では、「 (口)」と「 (十)」で表されます。本来の配置とは逆になっています。
 「古来」「古典落語」「擬古文」「古今集」

 (31)  苦   ク コ  にが‐い
      にが‐む くる‐しい くる‐しむ くる‐しめる
 「草冠」の下に「古 」を置いた形の文字です。苦い味のする草を表していると言われます。味の苦さから、こもごもの苦しみまで、幅広い意味を含んだ文字です。漢点字では、「 (草冠)」と「 (古)」で表されます。「古 」の「口」が省略された形です。
 「苦心」「苦難」「苦労」「艱難辛苦」「良薬口に苦し」

 (32)  枯   コ  か‐れる か‐らす
 「木偏」に「古 」の形の文字です。木が年老いて、乾いて枯れることを意味します。漢点字では、「 (木偏)」と「 (古)」で表されます。「古 」の「口」が省略された形です。
 「枯木」「枯死」「枯渇」「枯山水」

 (33)  湖   コ  みずうみ
 「さんずい」に「古 」と「月」の形の文字です。満々と水をたたえたみずうみ≠意味します。漢点字では、「 (さんずい)」に「 (月)」で表します。「古 」は省略されます。
 * 「古 」と「月」でできる文字は、ずっと後に、えびす≠フ訓で出て来ます。古く中国の周辺にいた少数民族、あるいはペルシャの人を指したと言われています。ここの「湖 」では、その音、コ≠指す符号として、含まれています。
 「湖水」「湖畔」「火口湖」「白鳥の湖」

 ・カタカナのナ≠フ形を、「十」の形と見て、その右下に部首の入る文字三つ。一般にカタカナのナ≠フ形は、手でものを持つことを意味します。
 (34)  有   ユウ ウ あ‐る たも‐つ
        も‐つ
 「十」の右下に「月」を置いた形の文字です。「月」は、「肉」のことで、手で肉を持っている形を表しています。ものがそこにある、ものを持っている、あり続けることを意味します。漢点字では、「 (十)」と「 (月)」で表します。
 「有無」「有識者」「有限会社」「有力者」「所有」「保有」

 (35)  存   ソン ゾン  あ‐る
        たも‐つ
 「十(ナ)」の斜め線の下部に交差した縦棒、その右下に「子」を置いた形の文字です。ある、そのままにしておく、保管しておく、という意味を持つ文字です。漢点字では、「 (十)」と「 (子)」で表します。
 「存在」「存続」「存念」「存分」「生存」「実存」

 (36)  在   ザイ サイ  あ‐る
        いま‐す おわ‐す
 「十(ナ)」の斜め線の下部に交差した縦棒、その右下に「土」を置いた形の文字です。今の今、そこにある、じっとしている、生きているという意味を持った文字です。漢点字では、「 (十)」と「 (土)」で表されます。
 「在席」「在職」「在任」「在勤」「存在」「現在」「混在」「在り様」「在りし日」

 ※ 「門構え」のある文字。「門」は、戸の閉ざされた入り口を表しています。下の半分が空間になっていて、そこに色々な文字が部首となって入ります。
 (37)  聞   ブン モン  き‐く
        きこ‐える
 「門構え」の中に「耳」の入った形の文字です。門を隔てて中の声をきく、あるいはきこえる。評判が立つ、噂がきこえて来るという意味があります。また、香りをかぐという意味もあります。漢点字では、「 (門構え)」と「 (耳)」で表されます。
 「聞香」「新聞」「伝聞」「聞酒」

 (38)  間   カン ケン ゲン  あいだ
        あい ま はざま
 「門構え」の下に「日」が入った形の文字です。元々は「日」ではなく、「月」でした。門の隙間から、月の光が見えていることを表しています。そこからあい、あいだ≠フ意味が生じました。また、ま≠ニ読んで、時間的な空隙や、家の間取り、部屋、けん≠ニ読んで、長さの単位)一間は六尺(を表します。漢点字では、「 門構え)」と「 (日)」で表します。
 「間隙」「間欠泉」「人間」「時間」「間遠」「幕間」「間取り」「間抜け」「九尺二間の棟割長屋」

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