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漢点字講習用テキスト
初級編 第11回


    3  複合文字 (1)
  3.漢数字および第一基本文字を部首とした文字 (6)


 (「兄 」の上に八が付く「兌 」が部首として含まれる文字、続き)。
  (52)  税   ゼイ  みつぎ
        と‐る ぬ‐く
  「禾偏」の右側に「兌 」を置いた形の文字です。「禾偏」は、作物の実りを表した部首です。ここでは、国家や支配者が、収穫物から決まった分量を抜き取ることを表しています。みつぎ≠ノは、この税の他に、「租・庸・調」のあったことが知られます。漢点字では、「 (禾偏)」と「 (兌 )」で表されます。
  「税金」「税額」「国税」「地方税」「直接税」「消費税」

  ※ 「見 」を部首として含む文字二つ。
  (53)  覚   カク  さ‐める さ‐ます
        おぼ‐える さと‐る
  「学」の冠と同じ「ツメ冠」の下に、「見 」を置いた形の文字です。この冠は、手でやり取りしながら子どもにものを教えるという意味があります。この文字は、目が覚める、ものを記憶する、ものごとを感じ取る、聞き分けるという意味を表します。漢点字では、「 (ツメ冠)」と「 (見 )」で表されます。
  「覚醒」「覚悟」「感覚」「知覚」「覚え書き」「覚束無い」

  (54)  視   シ  み‐る
  「示偏」の右側に「見 」を置いた形の文字です。「示」の祭壇の意味は強くありませんが、じっとみる、真っ直ぐにみるという意味があります。また、「… 視」として、ものの見方を表すときにも用いられます。漢点字では、「(示偏)」に「(見 )」で表されます。
  「視覚」「視力」「視線」「視点」「視野」「白眼視」「客観視」

  ※ 「介介」を部首として含む文字一つ。
  (55)  界   カイ  さかい
  「介 」の上に「田」を置いた形の文字です。「介 」は、ものの間に入って区切りを付けるという意味があります。この文字は、「田」は田畑のことで、耕作地に境を付けて、区画を決める、決められた区画を意味します。現在では大幅にその意味が広がりました。漢点字では、「 (田)」に「 (介 )」で表されます。
  「界隈」「世界」「学界」「法曹界」

  ※ 「学、覚 」の冠「ツメ冠」を含む文字二つ。
  (56)  栄   エイ ヨウ  は‐える
        さか‐える さか‐ん
  「学、覚 」と同じ冠「ツメ冠」の下に「木」が置かれる文字です。この「ツメ冠」は、「学」や「覚 」とは異なって、木一杯に花が咲いている様子を表しています。はなやかでにぎやかな様、さかえにぎわっているという意味があります。また、身体の栄養、漢方で言うところのエネルギー、家の屋根の端、軒の意味もあります。漢点字では、「 (ツメ冠)」と「 (木)」で表されます。
  「栄養」「栄冠」「繁栄」「春栄」「栄耀栄華」「栄枯盛衰」「栄花物語」

  (57)  労   ロウ  つか‐らす つか‐れる
        いたわ‐る ねぎら‐う
  「ツメ冠」の下に「力」を置いた形の文字です。この「ツメ冠」は、火が盛んに燃えている様子を表しています。そこから、力を出し尽くして働く、力を使い果たして疲れるという意味が生じました。またそれをいたわる、ねぎらうという意味も表します。漢点字では、「 (ツメ冠)」と「 (力)」で表されます。
  「労働」「労苦」「労力」「労作」「苦労」「勤労」「疲労」「労せずして …」「労を厭わず」


  ※ 「加」とそれを含む文字。
  (58)  加   カ ケ  くわ‐える
        くわ‐わる くわ‐うるに
  「力」の右側に「口」を置いた形の文字です。ものをくわえる=A数を増す、影響を与えるの意味を表します。さらに、くわうるに≠ニ、副詞的にも用います。漢点字では、「 (力)」と「 (口)」で表されます。
  「加減」「加盟」「加入」「加圧」「加害者」「参加」

  (59)  賀   ガ カ  よろこ‐ぶ
  「加 」の下に「貝」を置いた形の文字です。「加 」は、肩にものを担ぐことを、「貝」は、高価な金品を表して、祝いの品を担いで持って行くことを意味します。漢点字では、「 (加)」と「 (貝)」で表されます。
  「賀状」「賀詞交換」「年賀」「祝賀」「慶賀」「謹賀新年」

  ※ 「化」とそれを含む文字。
  (60)  化   カ ケ ゲ  ば‐ける
        ば‐かす か‐わる
  この文字は、左右二つの部首からなっています。左側は「人偏」、右側は「比」の右側、すなわち、カタカナのヒ≠ノ似た形をしています。何れも人の姿を表していると言われます。左側は、立っている人の、右側は、身体を曲げている人の姿と言われます。この文字は、このように人の姿形の変化を以て、ものごとの移り変わり、変容を表します。漢点字では、「 (人偏)」と「 (比の右側)」で表されます。この場合の人偏は、「 」ではなく、「 」です。このような符号を、「第二人偏」と呼びます。
  「化学」「化合」「化石」「化粧」「文化」「変化」「進化」「羽化」「七変化」

  (61)  花   カ ケ ゲ  はな
  「草 」の下に「化 」を置いた形の文字です。「化 」は、様々に姿を変えることを意味していますが、この文字は、植物が大きく姿を変えたもの、様子が変わり易いもの、すなわち鮮やかなはな≠表します。また波及して、華やかなもの、派手なものも指します。日本でははな≠ニ言えば、サクラ≠指しますが、中国ではボタン≠ナあったりモモ≠ナあったりします。漢点字では、「 (草冠)」に「 (化)」で表されます。
  「花壇」「花瓶」「生花」「供花」「花火」「花束」「花道」「草花」

  (62)  貨   カ  まいない‐する
  「化 」の下に「貝」を置いた形の文字です。元もとは、何にも変えることのできるもの、すなわちおかね≠フことでした。現在ではそれに加えて、商品や財産も表します。また、まいないする≠ニ読んで、賄賂≠フ意味にも用いられます。漢点字では、「 (貝)」と「 (化)」で表されます。左右が逆になった文字です。
  「貨幣」「貨物」「貨車」「通貨」「財貨」

  ※ 「言」、「云 」を部首として含む文字。
  ・「言」を含む文字。
  (63)  信   シン  まこと のぶ
  「人 」の右に「言」を置いた形の文字です。一度口に出したこと、決めたことを、曲げずに実行する、本当のこととするという意味を表します。また、本当のことを伝える、ものごとを信じるという意味もあります。漢点字では、「 (人偏)」と「 (言)」で表されます。
  「信用」「信頼」「信仰」「信号」「通信」「音信」「風信」「交信」「電信」

  (64)  恋   レン  こい こ‐う
        こい‐しい
  この文字の旧字体の上部は、横に「糸、言、糸」と並んでいます。糸がもつれるように、きっぱりとものごとを決めかねる、ものごとが乱れる様子を表しています。この文字は、その下に「心」を置いた形で、心がもつれ乱れることを表しています。男女の心の引き合う力、それによって引き起こされる様々な人間模様を含んだ文字です。漢点字では、「 (言)」と「 (心)」で表されます。二つの「糸」が省略されています。
  「恋愛」「恋情」「恋慕」「失恋」「恋心」「忍ぶ恋」

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