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漢点字の散歩(28) 岡田 健嗣 |
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漢点字紹介(11) 4. 漢点字のご紹介 G 複合文字 前回ご紹介した「傍側基本文字」は、他の文字の構成要素となる場合は、主に旁を占める基本文字です。今回はこの「傍側基本文字」を部首として含む文字をご紹介します。 ここでは、前回例示された文字から、ご紹介します。 (1) 集 シュウ あつまる あつめる つどう 隹(ふるとり) / 木 「離 」に含まれる「隹(スイ)」は、「」の漢点字符号で表されます。「隹」は鳥の象形で、「ふるとり」と呼ばれます。「旧」の旧字体である「舊」に含まれるからです。この文字は、木の上に鳥が沢山止まっていることを表す会意文字で、「あつまる、つどう」と訓読されます。漢点字では、「 」で表されます。「」で木を、「」で隹を表します。左右が逆になっています。 熟語: (集合) (集中) (2) 級 キュウ 糸偏 + 及 織機に糸をかけて順序よく織物を織ることを表す形声文字です。順序よく織り上げることから、上下関係を表す文字として用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で糸偏を、「」で及を表します。 熟語: (学級) (等級) (3) 服 フク 月偏 + ふくづくり 月偏は舟形の大皿を、ふくづくりは身を屈めた人を象った形声文字です。この文字は、身にまとう衣服を表すととともに、降伏し付き従うことを意味します。漢点字では、「 」で表されます。「」で月を、「」でふくづくりを表します。ふくづくりは「及」に似た形ですので、同じ点字符号が用いられます。 熟語: (衣服) 従(服従) (4) 携 ケイ たずさえる たずさわる 手偏 + 隹 / 乃 占いのために、隹(鳥)を台に載せて運ぶことを表す形声文字です。この「乃」は、台の形を表します。手で持って運ぶことから、「たずさえる、たずさわる」と訓読されます。漢点字では、「 」で表されます。「」で乃を、「」で手偏を表します。「隹」は省略されます。また漢点字符号は左右が逆になっています。 熟語: 帯(携帯) 提 (提携) (5) 秀 シュウ ひいでる 禾 / 乃 実を結んで穂が垂れた穀物を象った象形文字です。穂が上に伸びて、よい実をつけることから、「ひいでる」と訓読されます。漢点字では、「 」で表されます。「」で禾を、「」で乃を表します。 例: 透 誘 熟語: (優秀) (秀才) (6) 跡 セキ あと 足偏 + 亦 足跡を意味する文字です。「足」と「亦」で構成される形声文字です。この「亦」は「また」ではなく、「朿(シ)」の変化した形です。漢点字では、「 」で表されます。「」で足を、「」で亦を表します。 熟語: (足跡) (城跡) (7) 恋 レン こい こう 亦 / 心 「亦」の下に「心」が置かれた形の形声文字です。旧字体は「戀」で、上の部分は「糸・言・糸」の形です。「亦」の形はこれを簡略化したものです。この上の部分の形が引きつけることを意味して、この文字では心を引きつけるという意味を表します。漢点字では、「 」で表されます。「」で亦を、「」で心を表します。 熟語: (恋愛) (恋人) (8) 園 エン その 囗(くにがまえ) > 袁 囲いの中に「袁」が置かれた形の形声文字です。元は墓園を意味する文字でしたが、現在では広く庭園を指し手用いられます。漢点字では、「」で囗を、「」で袁を表します。 熟語: 庭 (庭園) (学園) (9) 遠 エン オン とおい しんにょう + 袁 「袁」に進にょうを加えた形の形声文字です。遠くへ旅立つことを表して、そこから「とおい」と訓読されます。漢点字では、「 」で表されます。「」でしんにょうを、「」で袁を表します。 熟語: (遠方) (永遠) (10) 取 シュ とる 耳偏 + 又 戦いで、敵の左耳を、右手で切り取ることを表す会意文字です。その耳は、戦果と勲功の証となりました。そこから「とる」の意味に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で耳を、「」で又を表します。 例: 最 撮 趣 熟語: 得(取得) 聴 (聴取) (11) 刊 カン けずる 干 + 立刀 木を刃物で削ることを表す形声文字です。版木に文字を彫って書物を出版することを刊行と言います。漢点字では、「 」で表されます。「」で干を、「」で立刀を表します。 熟語: (刊行) 誌(月刊誌) (12) 宇 ウ ウ冠 / 于 大きなドーム状の屋根、あるいは大きな軒を意味する形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」でウ冠を、「」で于を表します。 熟語: 宙(宇宙) (13) 株 シュ かぶ 木偏 + 朱 木の「かぶ」を意味する形声文字です。「かぶ」とは、木の根元、地面より上へ出ているところです。またそこから資本を等分して分け持つことを意味するようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で木を、「」で朱を表します。 熟語 切り (切り株) (株式会社) (14) 基 キ もとい 其 / 土 建物の四角い基礎・土台を意味する形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で其を、「」で土を表します。 熟語: 礎(基礎) (基本) (15) 勘 カン 甚 + 力 すき(耒)を研ぐことを表す会意文字です。そこから「かんがえる、しらべる」の意味に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で甚を、「」で力を表します。漢点字では、文字の左側に「甚」が位置するときは、「」の点字符号を取ります。 熟語: (勘案) 定(勘定) (16) 堪 カン タン たえる 土偏 + 甚 土間に設えた竈を意味する形声文字です。そこで土器などを焼くことから、熱に「たえる」という意味に用いられるようになりました。また「たのしむ」の意味にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で土偏を、「」で甚を表します。 熟語: 忍(堪忍) (堪能) (17) 迭 テツ しんにょう + 失 「失」は、巫女が舞って昂ぶる様子を表す文字です。この文字は、巫女が高く低く激しく舞うことを表す形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」でしんにょうを、「」で失を表します。 熟語: 更 (更迭) (18) 供 キョウ ク そなえる とも 人偏 + 共 「共」は供え物を捧げ持つ形を象った文字で、この文字も、人が供物を捧げることを表す形声文字です。また「とも」と訓読して、付き従う意味にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で人偏を、「」で共を表します。 熟語: (供花) (子供) (19) 娯 ゴ たのしむ 女偏 + 呉 「呉」は巫女が舞を舞う姿を象った文字で、この文字は、女の巫女が舞うことを表す形声文字です。興に乗って楽しげに舞うところから、「たのしむ」の訓に用いられました。漢点字では、「 」で表されます。「」で女を、「」で呉を表します。 熟語: 楽(娯楽) (20) 松 ショウ まつ 木偏 + 公 常緑樹の「まつ」を表す形声文字です。形の美しさや雄大さから、めでたい木として愛されています。漢点字では、「 」で表されます。「」で木偏を、「」で公を表します。 熟語: 梅(松竹梅) (21) 即 ソク つく すなわち 艮(コン) + 卩(ふしづくり) 艮は皀の簡略化した形で、人が食膳につくことを表す会意文字です。そこから「つく」の訓に用いられて、食事に臨むことから「すなわち」と用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」は発音を、「」で卩を表します。 熟語: 位(即位) 座(即座) (22) 節 セツ ふし 竹冠 / 即 竹冠と即で構成される、竹の節を意味する形声文字です。「卩」は、この文字の構成要素であることから、「ふしづくり」と呼ばれます。漢点字では、「 」で表されます。「」で竹冠を、「」で卩を表します。「艮」は省略されます。 熟語: (季節) (節分) (23) 厄 ヤク 厂(がんだれ) > 卩 馬車の長柄の先の「くびき」を象った象形文字です。「くびき」は長柄を馬の首に繋ぐ横木です。この文字の右下の部分は、「卩」(ふしづくり)から変化したものと同じ形です。馬が馬車に繋がれることから、「わざわい」の意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で厂を、「」で卩を表します。 例: 危 熟語: (災厄) 払い(厄払い) (24) 神 シン ジン かみ 示偏 + 申 「かみ」を表す文字は、稲妻を象った「申」でしたが、「もうす」の意味に用いられるようになって、これに示偏を付けた形声文字が作られました。この文字は、「かみ」だけでなく、「こころ、こころのはたらき」の意味にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で示偏を、「」で申を表します。 熟語: 精 (精神) 経(神経) (25) 洩 エイ もらす もれる さんずい + 曳 水が細く長く尾を引いて漏れ出ることを表す形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」でさんずいを、「」で曳を表します。 熟語: 漏 (漏洩) (26) 臥 ガ ふす 臣 + 人 目を伏せている人を意味する会意文字です。そこから身体を横たえることを表すようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で臣を、「」で人を表します。 例: 監 熟語: 臥(仰臥) 伏 (伏臥) (27) 距 キョ へだてる けづめ 足偏 + 巨 巨はさしがねを表します。直角に折れ曲がっていて他のものと合いません。そこで足偏が付いて、「へだてる」の訓に用いられる形声文字ができました。「巨」はまた、鶏のけづめに似ているところから、その意味にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で足を、「」で巨を表します。 熟語: (距離) 鶏 (鶏距) (28) 尾 ビ お 尸(しかばね) > 毛 獣の尻尾が垂れたところを象った象形文字です。「うしろ、おわり」の意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で尸を、「」で毛を表します。 熟語: (末尾) 尻 (尻尾) (29) 僧 ソウ 人偏 + 曽 仏教の僧侶を表す形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で人偏を、「」で曽を表します。第二人偏を用いています。 熟語: 侶(僧侶) 坊(僧坊) (30) 祖 ソ 示偏 + 且 先祖を祭る祭壇に供物を捧げることを表す形声文字です。そこから「もと、はじめ」の意味に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で示偏を、「」で且を表します。 熟語: (祖父母) 先 (先祖) (31) 池 チ いけ さんずい + 也 也は蛇を象っていて、水の広がりを表す形声文字です。「いけ」は、人工的に掘った堀のことです。漢点字では、「 」で表されます。「」でさんずいを、「」で也を表します。 熟語: 塘(池塘) 蓮 (蓮池) (32) 彩 サイ いろどる あや 采 + 彡(さんづくり) 采は草木から色を取ることを表していて「色取り」の意味に用いられます。さらに彡はそれを強調して、「色取る、色取り」の形声文字となりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で采を、「」で彡を表します。 熟語: (色彩) (光彩) (33) 粧 ショウ よそおう 米偏 + 庄 身を飾って新たな姿になることを意味する形声文字です。顔に紅を差したり、身を飾ったりすることを表します。漢点字では、「 」で表されます。「」で米偏を、「」で庄を表します。 熟語: (化粧) (34) 暁 ギョウ あかつき 日偏 + 尭 尭は竈で土器を焼く形で、土器を高く積み上げることを意味します。この文字は、夜明けに地平線から日が高く昇って、徐々に明るくなることを表す形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で日を、「」で尭を表します。 熟語: (暁天) 早 (早暁) (35) 団 ダン トン 囗(くにがまえ) > 寸 専の旧字体は「專」、この文字の旧字体は「團」です。新字体は「專」に含まれる寸だけが残りました。「專」は、丸い形を表して、囗とともに一つにまとめることを意味する形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で囗を、「」で専(寸)を表します。 熟語: (団体) 布 (布団) (36) 停 テイ 人偏 + 亭 街道沿いに駅亭が設けられて、旅人が宿泊しました。この文字は、「とまる、とどまる、いこう」の意味に用いられる形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で人偏を、「」で亭を表します。第二人偏を用いました。 熟語: (停車) 留(停留) (37) 張 チョウ はる 弓偏 + 長 弓の弦を張ることを表す形声文字です。「はる、ひっぱる、ひろげる」の意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で弓偏を、「」で長を表します。 熟語: (張力) 緊 (緊張) (38) 頭 トウ ズ あたま かしら 豆 + 頁 豆は脚のついた器を表す文字で、人の首に似た形をしています。また頁は人の頭の象形です。そこから「あたま、かしら」を指す形声文字となりました。頭は身体の上部にあることから、「はじめ」の意味にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で頁を、「」で豆を表します。左右が逆になっています。 熟語: (頭目) (頭上) (39) 治 ジ チ おさめる なおす さんずい + 台 台は農耕で使うスキを祓い清めて実りを祈ることを表します。この文字は、水の穏やかなことを祈念すること、治水、さらに政治の意味に用いられる形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」でさんずいを、「」で台を表します。第二さんずいを用いています。 熟語: (治安) 世(治世) (40) 詞 シ ことば 言偏 + 司 司は神への祈りを表す文字です。それに言偏がついて祈りの言葉を意味するようになった形声文字です。後に言葉全般を表す文字になりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で言偏を、「」で司を表します。 熟語: 歌 (歌詞) 祝 (祝詞) (41) 指 シ ゆび さす 手偏 + 旨 食物の味がよく、指さして褒めることを表す形声文字です。指示・指図する意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で手偏を、「」で旨を表します。 熟語: (食指) (指事文字) (42) 故 コ ゆえ 古 / 攵(ボク、ノ文) 「ふるい、もと」の意味の文字ですが、後に神に強く祈る意味を表す会意文字です。攵は、棒で打ち据えることを表します。「ことさらに、わざと」の意味で、「ゆえ」の訓に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で古を、「」で攵を表します。 熟語: 郷(故郷) (事故) (43) 初 ショ はじめ はじめて はつ うい 衣偏 + 刀 子供の最初の産着を作ることを表す会意文字です。布に初めて鋏を入れることを表します。そこで「はじめ、はじめて、はつ、うい」の訓で用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で衣偏を、「」で刀(刃物)を表します。 熟語: )初心) 最 (最初) (44) 忍 ニン しのぶ しのばせる 刃 / 心 心を強くして耐え忍ぶことを表す形声文字です。「しのび」と読めば、忍者を意味します。漢点字では、「 」で表されます。「」で刃を、「」で心を表します。 熟語: 耐(忍耐) (堪忍) (45) 刻 コク きざむ 亥(ガイ) + 立刀 「亥」は堅い骨格を表す文字で、刃物でその骨を切り分けることを表す形声文字です。そこから「きざむ」の訓に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で亥を、「」で立刀を表します。 熟語: (刻苦( (時刻) (46) 設 セツ もうける 言偏 + 殳(シュ、ル又) 「殳」は矛を象った文字で、祝詞で矛を清めることを表す会意文字です。「おく、つらねる」の意味があり、そこから「もうける」の訓に用いられました。漢点字では、「 」で表されます。「」で言偏を、「」で殳を表します。 熟語: 備(設備) 施 (施設) (47) 般 ハン めぐる 舟偏 + 殳(シュ、ル又) 舟形の大皿を打って楽器としたことを表す会意文字です。「殳」には打つという意味があります。楽器を打って「たのしむ」と用いられました。現在では、一様、色々、先頃など、全体に渡る意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で舟偏を、「」で殳を表します。 例: 盤 熟語: (一般) (今般) (48) 芝 シ しば 草冠 / 之 現在では栽培品種の芝生を指す形声文字です。元は霊妙な薬草のことでした。漢点字では、「 」で表されます。「」で草冠を、「」で之を表します。 熟語: (芝生) (芝居) (49) 常 ジョウ つね とこ 尚 / 巾 帯から垂らした布である裳を意味する形声文字です。長さが一定であるところから、「つね」の訓に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で尚を、「」で巾を表します。 熟語: (常用) (常時) * 「尚」が構成要素となってその文字の上部に位置するとき、漢点字符号は、「」となります。 (50) 波 ハ なみ さんずい + 皮 皮は獣の皮を剥ぎ取る形を象った文字で、それがゆらゆらと揺らめく様子と、水面の波の揺らめきが重なった形声文字です。水の波の他、波には電磁波や音波があります。漢点字では、「 」で表されます。「」でさんずいを、「」で皮を表します。 熟語: (波頭) 紋(波紋) (51) 肥 ヒ こえる こやす 肉月偏 + 巴 巴は卩(ふしづくり)に由来する形で、人が屈んでいる様子を象っています。この文字は肉月が付いて、肉付きのよい身体を表す会意文字です。また地味の豊かな意味にも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で肉月偏を、「」で巴を表します。 熟語: 満(肥満) 料(肥料) (52) 悲 ヒ かなしい かなしむ 非 / 心 心の痛みを表す形声文字です。「かなしい」という感情の表現に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で非を、「」で心を表します。 熟語: (悲哀) (悲運) (53) 否 ヒ いな しからず 不 / 口 神に捧げられた祈りが、拒絶されることを表す会意文字です。「いな、しからず」と訓読されて、否定を表します。漢点字では、「 」で表されます。「」で不を、「」で口を表します。 熟語: 定(否定) 拒 (拒否) (54) 編 ヘン あむ 糸偏 + 扁(ヘン、ひらたい) 旁の「扁 」は、「戸」と「冊」でできた会意文字で、片開きの編み戸を表します。この文字は、文字が書かれた竹簡や木簡を革紐で綴じることを表す形声文字です。後に、書物の編纂を意味するようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で糸偏を、「」で扁を表します。 熟語: (編集) (長編) (55) 忘 ボウ わすれる 亡 / 心 物事に熱中して他を忘れることを表す形声文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で亡を、「」で心を表します。 熟語: 却(忘却) 健 症(健忘症) (56) 亨 コウ キョウ とおる なべぶた / 口 / 了 煮炊きして、人を持て成すことを表す象形文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」でなべぶたを、「」で了を表します。 (57) 裁 サイ たつ さばく 十・戈(ほこ構え) > 衣 哉は、戈(ほこ)を清めて戦勝を祈念することを表します。この文字は、哉の構えの中にある「口」の代わりに「衣」が入る形で、初めて衣服を作るときに、邪気を祓ってから布を裁断することを表す形声文字です。そこから「たつ、さばく」の訓で用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で哉の構えを、「」で衣を表します。 熟語: 判(裁判) 決 (決裁) (58) 宮 キュウ グウ みや ウ冠 / 呂 ウ冠は屋根の大きな建物、「呂」は祭壇を表す会意文字です。元は神を祭った建物を指しましたが、王が祭司を努めるところから、王の御所も「宮」と言います。漢点字では、「 」で表されます。「」でウ冠を、「」で呂を表します。 熟語: (神宮) 城(宮城) (59) 芽 ガ め 草冠 / 牙 春、草木が力強く芽生えることを表す形声文字です。「牙」は、生命の息吹を表します。漢点字では、「 」で表されます。「」で草冠を、「」で牙を表します。 熟語: (発芽) え(芽生え) (60) 似 ジ にる 人偏 + 以 元は後を継ぐことを表す形声文字でした。そこから、後を継ぐ者は先代に相似しているところから、「にる」の意味に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で人偏を、「」で以を表します。 熟語: 類 (類似) 顔絵(似顔絵) (61) 屋 オク や 尸(しかばね) > 至 至は、矢を放って神聖な場所を選択することを表して、この文字は、そこに建物を建てることを意味する会意文字です。現在では、「いえ、すまい」を表します。漢点字では、「 」で表されます。「」で尸を、「」で至を表します。 熟語: (家屋) (屋台) (62) 室 シツ むろ ウ冠 / 至 至は、神聖な場所を選択する占いを意味して、そこに祖先を祭る建物を建てることを表す会意文字です。現在では生活に利用する部屋の意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」でウ冠を、「」で至を表します。 熟語: (居室) (氷室) (63) 致 チ いたす 至 + 攵(ボク、ノ文) 至は、矢を放って神聖な場所を占うことを意味して、この文字は、人がその場所に達することを表す会意文字です。「おくりとどける、およぼす」の意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で攵を、「」で至を表します。左右が逆になっています。 熟語: (合致) 極 (極致) (64) 到 トウ いたる 至 + 立刀 至は、矢を放って神聖な場所を占うことを表して、この文字は、人がその場所に達することを意味する会意文字です。「いたる、つく」の意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で至を、「」で立刀を表します。 熟語: 着(到着) (到頭) * 「致」と「到」の二文字は、字源が一つです。 (65) 野 ヤ の 里偏 + 予 里の周辺の野原を表す形声文字です。里は田畑と社を表していて、この文字は、その周辺の、人の生活の領域の原を指します。漢点字では、「 」で表されます。「」で里を、「」で予を表します。 熟語: (原野) (山野) (66) 務 ム つとめ つとめる 矛 + 攵(ノ文) / 力 「矛」と「攵」は人を背後から急き立てること、「力」は農耕を表します。この文字は、農耕に励むことを意味する形声文字です。そこから「つとめ、つとめる」の訓に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で矛を、「」で力を表します。攵は省略されます。 例: 霧 熟語: 勤 (勤務) 執 (執務) (67) 監 カン みる “臣+ノ一/一” / 皿 人が俯いている形の「臥」と「皿」で構成された会意文字です。「皿」は水盤で、水に姿を写すことを表す「鑑」の元の字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で臣を、「」で皿を表します。他の構成要素は省略されます。 例: 艦 鑑 藍 熟語: 督(監督) 査(監査) (68) 盤 バン おおざら たらい 般 / 皿 この文字の元の形は「般」で、これに「皿」を加えた形声文字です。「おおざら、たらい」を指す文字です。漢点字では、「 」で表されます。「」で般を、「」で皿を表します。 熟語: (水盤) (円盤) (69) 担 タン になう かつぐ 手偏 + 旦 旁の「旦」が音を表す形声文字ですが、本字は「擔」で、旁の「旦」は、簡略形です。「になう、かつぐ」の訓に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で手偏を、「」で旦を表します。 熟語: 当(担当) (分担) (70) 紺 コン 糸偏 + 甘 深い青色を表す形声文字です。絹地の紺色は、大変珍重されました。漢点字では、「 」で表されます。「」で糸偏を、「」で甘を表します。 熟語: (紺青) 碧(紺碧) (71) 振 シン ふる ふるう 手偏 + 辰 辰は動きを意味する文字で、この文字は手で揺り動かすことを表す形声文字です。動かして奮い立たせる意味に用いられます。漢点字では、「 」で表されます。「」で手偏を、「」で辰を表します。 熟語: (振動) 幅(振幅) (72) 震 シン ふるえる 雨冠 / 辰 辰は動くことを表して、この文字は天が激しく動くこと、激しい雷鳴を意味する形声文字です。そこから「ふるえる」の訓に用いられるようになりました。漢点字では、「 」で表されます。「」で雨冠を、「」で辰を表します。 熟語: 地 (地震) (余震) 以上、11回に渡って、漢点字の概略をご紹介して参りました。 誠に浅学と非力を痛感させられながらの作業ではありましたが、願わくは読者諸兄姉のご批判を仰げれば幸甚に存じます。 平成24年(2012年、壬辰) 2月15日 |
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