「うか」111号 トップページへ | ||
点字から識字までの距離(104) 野馬追文庫(南相馬への支援)(22) 山 内 薫 |
||
ちゅうりっぷ文庫からの手紙 前回、前々回に引き続き、今回はちゅうりっぷ文庫を主宰されているGさんに寄稿をお願いしたところ「今回原稿依頼があり、皆さんと相談した結果『野馬追文庫さんへの手紙』と決まり、5月29日(月)文庫に遊びに来た、お母さんと、お友だち、私の娘、孫も参加しました。」というメモと共にたくさんのお手紙、文庫だよりなどもお送り頂いたのでご紹介する。 ちゅうりっぷ文庫(Gさんの旧宅)には、私も2015年の5月に南相馬を訪れた際伺ったが、その後別の場所に引っ越しされ、今年の1月から文庫を再開なさっている。文庫の紹介文には次のように記されている。 「平成18年1月から、子育て、孫育て中の方の居場所づくりとして、自宅を開放して、姉(元保健師)、いとこ(元音楽教師)で、ちゅうりっぷ文庫を開始しました。 毎週月曜日、10:00〜11:30 第2、第3月曜日は、南相馬市原町子育て支援センターで実施しております。 内容は、さまざまですが、絵本、紙芝居、などの読み聞かせを毎回実施しています。 毎月発行している文庫だよりも今月で141号になりました。 震災前は、10組ぐらいの利用者も震災後は2〜3組と減少しましたが、休むことなく継続しております。 毎年8月には、南相馬市立図書館「おはなしの蔵」にて平和おはなし会を実施。 野馬追文庫さんより平成26年から支援を頂いております。感謝しています。 ちゅうりっぷ文庫とは、ちゅうりっぷの歌「どのはなみても きれいだな」どなたでも、わけへだてなくという意味で付けました。」 お送り頂いた文庫だよりは、丁度震災前の66号(平成23年3月1日)、震災後の68号(平成23年5月1日)、お孫さんの事が載っている、そして野馬追文庫からちゅうりっぷ文庫に初めてお送りした本が載っている108号(平成26年9月1日)、ちゅうりっぷ文庫主催で、南相馬市立図書館おはなしの蔵で毎年開催されている「平和」や「命の大切さ」のお話会のポスターの載った131号(平成28年8月1日)、そして今年発行された136号から141号の全10号分。 文庫だよりはA3版二つ折りの4ページ立て横書きで、1ページにはタイトルと今月の詩、その月の予定、絵本の時間(ここには新着絵本や野馬追文庫から送られた本が載っている)、2ページから3ページの中開きと4ページには開催された文庫の行事等のカラー写真が何枚も載っており、4ページ目にはお知らせなども載っている。(カラー写真になったのは最近のことで古いものは中開きのページは空白のまま) 震災直後の68号(平成23年5月発行)の今月の詩は ちゅうりっぷ 何事もなかったかのように 今年も沢山のちゅうりっぷの花が きれいに咲いた まっすぐ おひさまに向かって さあ ちゅうりっぷの花のように 明日に向かって 前進しよう! とあり、裏ページには6人のメモがそのままコピー掲載されている。 「うみにあそびに いきたいなあ みいな(4才)」 「ちゅうりっぷぶんこのおともだち げんきですか みらいは げんきで ようちえんに いってます みらい」 「服し負けん! 切磋琢磨 みんなで力を合わせて 自慢できる原町にしよう!! A」 「人の目が体の前についているように、横や後ろばかりを見るのではなく、前を向いて生きていきましょう。必ずや、その先には光が待っています。S 私は信じてます。あなたのその力を。」 「ちゅうりっぷ文庫さん 色々と楽しい思い出ありがとうございました。ちゅうりっぷ文庫でお世話になった皆さん ありがとうございました。 今回の東日本大震災で避難されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。又いつか元気でちゅうりっぷ文庫さんでお会いするのを楽しみにしています。 Y」 「身体が揺れています。心が震えています。でもあの日の様な怖さはありません。1日1日、1歩1歩力強く生きると誓ったからです。皆様にお逢いできる日を楽しみに笑顔を忘れず頑張ります。いやがんばりましょう M」 それでは皆さんから届いた手紙(メモ)を紹介する。 先ず文庫の主宰者Gさんから 「野馬追文庫の皆様へ 毎月心のこもった絵本を届けて頂きありがとうございます。点字の絵本やもこもこグループさん手づくりの布絵本、エプロンシアター、おすしセットなどは子ども達に大人気です。めずらしい興味深いもので私自身も楽しみに利用させて頂いております。(グーチョキパーでなにつくろう!)年齢関係なく、参加型読み聞かせに大活躍です。 ちゅうりっぷ文庫 G」 「いつも文庫に絵本を届けていただき有難うございます。布絵本特に点字の絵本は存在すら知らず、自分が意識してさがさなければ目にする事もなかった本だと思います。感謝しております。肌を通して心に響く本だと思います。本当に有難うございました。 ちゅうりっぷ文庫 M」 2才から4才までの子どもたちから(7つのうち5つはお母さん代筆) 「楽しく読ませていただきました。本の好きな子なので助かります。ありがとうございました。朝飛(2才)」 「様々な内容を一冊にまとめた有意義な雑誌でした。子供と楽しめました。ありがとうございました。ちほ(2才)」 「子供の心の栄養になる絵本のプレゼントをありがとうございます。みのり(2才)」 「手作り布絵本 楽しく見せていただきました。ありがとうございます。ゆいと(4才)」 「絵本が大好きで毎回楽しんでいます。本当にありがとうございます。あやか(4才6ヶ月)」 「ありがとう あやか」(自筆) 「(顔と何かの絵)」(自筆) 次ぎに小学生の2人から 「私はちゅうりっぷ文庫さんで、野馬追文庫さんから送っていただいた本を読ませていただいています。いつも、次の本がくるのを楽しみに待っています。すてきな本をありがとうございます。私は本が大好きです!点字さわる絵本やエプロンシアターやぬの絵本、その中でもぬの絵本の「7ひきの子やぎ」が印象的で心に残っています。いつもありがとうございます! 山上小五年 Y」 Gさんのお孫さんで相模原市に住む同じく小学校5年生のAさんから 「野馬追文庫の皆さんへ 私は、野馬追文庫の本が大好きです。知ったきっかけは、ばぁば(ちゅうりっぷ文庫)の図書館での読みきかせで『これはわらぶきやねのいえ』を読んでいて知りました。この本は心に残るおもしろい本でした。私は夏休みばぁばの家にいって図書館で読みきかせを2年生でばぁばといっしょに「ええところ」を読みました。私はしょうらい保育士になろうと思っています。私のいとこが3才と1才なので、そのお世話と読みきかせを合体して大人になって保育士になって読みきかせをやめないで大人になってそれを生かせれたらいいと思います。 広陵小学校 5年1組 A」 文中の「これはわらぶきやねのいえ」は布絵本を製作しているグループもこもこの作品で、児童文学作家杉山亮さんが伝承話をおはなしライブで語ったものを元に作った布絵本。野馬追文庫から初めてちゅうりっぷ文庫にお送りした本の中の1つで、この時には『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』と『かいじゅうたちのいるところ』の合わせて3冊を送っている。丁度お送り頂いた文庫だよりの108号(平成26年9月1日)の今月の詩には「孫」というタイトルで次の様に記されている。 「始めて2年生の孫が夏休みを利用して相模原から1人で田舎に泊まりにきた。 孫の思い出づくりにと、夏まつり、プール、霊山子ども村、図書館、七夕、映画鑑賞など盛り沢山の計画を実施。じぃじとばぁばは楽しい時を過ごした。帰省した孫から“楽しかった”との便りに、ほっと疲れがとれた。」 おしまいのお手紙は世田谷に住んでおられるGさんの娘さんからのもの 「野馬追文庫さんへ ちゅうりっぷ文庫に点字の絵本が届いた!と聞いた日のこと、私は今もくっきりと思い出します。 何故なら、息子(2歳半)は先天性のがんにより生後6ヶ月で左眼を神様にお返しすることになり、残された右眼ががんに蝕まれないよう願う日々でのことだったからです。それはちょうど息子が両目を失うかもしれない世界を想像していた時のことで、息子の命さえ残してもらえさえすれば、その後どんな困難にも立ち向かうという覚悟で息子の健康を願う毎日でした。 その頃、私には点字の知識もなく視覚支援学校の育児相談へ初めてでかけ、点字が実は身近なものであったことを知り、更には点字の絵本が野馬追文庫さんから届いたと聞いたことで『目が見えなくても生きていける!』そんな希望が持てたのです。 時を経て、幸いにも右眼への転移もなく右眼の視力もそれなりにあるようで母としては命を繋げたことに安堵しているところです。運動・精神発達遅滞等もありさまざまな育てにくさもある息子です。 それでも絵本は大好きです。 特にページをめくるのが大好きです。 大好きな絵本は噛んでしまうこともあります。 息子が噛んだ絵本は息子が好きな本! 息子が噛んだ絵本は娘(1才3ヶ月)も噛みます。 実家へ帰省すると子供たちは文庫のお部屋で遊びます。 子ども達が目を輝かせて真剣な表情で選んでいる姿が私は好きです。 ちゅうりっぷ文庫は基本的に母がセレクトする絵本ばかりでしたが新しい風を吹き込んでくださりありがとうございます。 きっかけは震災、と残念なことではありましたが、これからもこのご縁が続きますよう、今度はこちらからもバトンを渡せるように頑張ります。 愛の反対は無関心<}ザーテレサの言葉です。 関心を寄せてくださっていることに感謝いたします。 東京都世田谷区経堂 S」 |
||
前号へ | トップページへ | 次号へ |