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字式について(2) 岡田 健嗣 |
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参考資料 前回、漢点字書で文字の形を表す方法として、川上先生が考案した「字式」のあらましをご紹介しました。その「字式」に本会で使用している記号を九つ挙げましたが、さらに2つ落としていることに気づきました。 そこでここでは、前回ご紹介した記号を、簡単に挙げて、残りの2つを、その後にご紹介したいと思います。 ①+ 部首が横に並んだ場合の、左右の関係を表す。 ②/ 部首が縦に並んだ場合の、上下の関係を表す。 ③\ 漢字のパーツとパーツを重ねることを表す。 ④・ パーツが縦に並んでいるとき、くっついている関係を表す。くっついているのが横線であれば、1本の横線になる。 ⑤> 左側の構えの中に右側の部首を入れるか、あるいは左側の部首の右下に右側の部首を入れるかを表す。 ⑥< 左側の部首を、右側の部首の左下に入れることを表す。 ⑦÷ 文字を上下に分けて、その間に部首を入れることを表す。 ⑧@+ 伸ばした脚の上に部首を載せることを表す。 ⑨‐ 左右の部首や画をくっつけることを表す。 以上が、前回ご紹介した「字式」で使用している記号です。 さらに2つを落としておりましたので、ここにご紹介します。 ⑩@: 「@:」は、左右どちらかの対称形を、その反対側に置く記号です。 例: 渋 さんずい+止/冫@: * 「渋」は常用漢字体の形で、その旧字体は「澁」です。旧字体の字形を字式で表しますと、「さんずい+止/“止+止”」となります。音もこの「澁」の旁に由来します。そうしますと、「渋」の旁の形は、「澁」の旁「止/“止+止”」の略体であることが分かります。「冫@:」は、「止+止」の略体なのです。 例: 叟 “| @:ヨ”・又 * 「叟」の音と訓は、「ソウ、おきな」です。「おきな」とは、年老いた男性のこと、痩せたじじ、あるいは一族の長老です。「字式」で表している「ヨ」の形は、その左側にあるその対称形とともに、両手で何かをしている形を表しています。「|」はこの場合、「ヨ」とその左側にある「ヨ」の対称形との間に位置します。すなわち、「ヨ」とその対称形が、この「|」を持つという行為を表していると見てよいようです。ではこの「|」は何か、多分杖のような棒であろうと見てよいのではないでしょうか。また、下の「又」は、右手の形です。こうしてみますとこの文字は、杖にすがる人、老いた老人を表しているものと解されます ⑪@~ 「@~」は、その左側にある部首を右側の左上に、あるいは、その右側にある部首をその右上に乗せる形を表します。 例: 哉 口<十@~戈 * この「十」は「才」で、ほこ(戈)を清めた標です。「戈」の左上に「十」を置くことで、清められた「戈」を表しています。 例: 乳 ノツ@~孔 * 「孔」は乳児の頭髪を剃った形で、乳児を表しています。「ノツ」は、「爪」の略体、すなわち「手」です。この文字は、乳児の頭を手で支えながら授乳している姿を象ったものと言われます。「ノツ@~子」は、「子」の頭に手を添えている形です。 前回落としたこの2つの記号は、字式を表す記号の中でも、かなり踏み込んだものと言えると思います。 以上、次号から、順次具体例をご紹介します。 |
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