漢点字講習用テキスト |
初級編 第4回 |
2 基本文字 (2)
(42) 耳 ジ みみ
身体のミミを象った文字です。部首では〈耳偏〉として、耳に関わること、ものを聞くことを表します。
「
」「
東風」「
鼻科」「
問」
(43) 車 シャ くるま
荷車を象った文字です。多く〈車偏〉として、運送、交通、軍事などの意味を表します。
「両」「
」「
」「荷
」「
押し
」
(44) 門 モン かど
建物や敷地の正面にある出入り口、開閉できる扉の付いたモンを象った文字です。部首では〈門構え〉として、何かの入り口、境界の出入りを監視する場所の意味などを表します。
「正」「裏
」「赤
」「関
」「登竜
」「
口」「
付け」
(45) 病 ビョウ ヘイ や‐む やまい
人の生にとって避けて通れないのが病気です。病気と闘いながら一生を送ると言っても過言ではありません。この字は、墨字では「病垂」に「丙」の形ですが、人が病気にかかって、身体が硬くなって、床に横たわっている姿を表していると言われます。〈病垂〉は、病気や病魔を意味します。漢点字では「
」の形でその〈病垂〉を表します。
「気」「
魔」「成
」「生活習慣
」「
み衰える」「恋の
」
(46) 行 コウ ギョウ アン ゆ‐く
おこな‐う
道の交差し行き交う形を象った文字です。道の交わったところには、人の行き交いも活発になって、市が立ち、町が発達します。「行」の字には、そのような意味が含まれて、活発な運動を表します。部首では〈行人偏〉として、〈行構え〉として、広く人の行動や社会のたたずまいの意味を表します。漢点字でも、「
」の形で、〈行人偏〉〈行構え〉を表します。
「為」「
動
」「
政」「
を
する」「
灯」「
脚」「
いを慎む」「
知れず」
(47) 店 テン みせ たな
一戸を構えて商品を商う家です。墨字では、「广垂れ」の下に「占」の形で、屋根と壁を持った建物で商いをすることを意味します。漢点字では、「
」の形で、〈广垂れ〉を表します。
「舗」「
主」「
員」「
先」「
賃」
(48) 月
ゲツ ガツ つき
夜、空に上って地上を照らすお月様です。その三日月を象っています。夜を照らす淡い光、約一ヶ月で満ち欠けを繰り返します。その意味で、天体としての月ばかりでなく、時間の単位としても、大きな意味を持っています。
「
(睦
)、
(如
)、
(卯
)」「満
」「
日
」「
」
(49) 肉 ニク
身体を作っているニク、食物でもあるニクを象った文字です。部首では〈肉月〉として、身体や食物に関わる意味を表します。漢点字でも「
」の形で、〈肉月〉を表します。
「体」「
親」「筋
」「骨
」「弱
強
」
(50) 分
ブン フン ブ わ‐ける
わ‐かる わ‐かつ
墨字では「八頭」の下に「刀」の形で、刀で肉を切り分ける様子を象っています。「フン」と読んで、時間や角度の単位を、「ブ」と読んで、貨幣や長さや重さの単位を表し、そしてものを分けること、ものごとをよく分けて理解することなどを表しています。漢点字では「
」の形で、〈八頭〉や三角の屋根を表します。
「離」「
解」「
」「
の
」「
等
」「
時
」「
別」「
かりました」
(51) 日 ジツ ニチ ひ
太陽・おひさまを象った文字です。日の出没を一日として、時間の単位を表します。部首になって、ひかり、暖かさ、自然の恵みを表す文字を作ります。水と大地とこの太陽が、太古から人々の生の拠り所だったのでした。それは、現在も変わりありません。
「光」「
」「
」「
」「休
」「
曜
」「
の
」
(52) 性
セイ ショウ さが
墨字では「立心偏」に「生」の形で、ものの性質や性格を表す文字です。〈立心偏〉は「心」の字形が変化したもので、心の状態や動きを表す部首です。また、男女の「セイ」も表します。漢点字では「
」を、〈立心偏〉として用います。
「質」「
格」「
別」「
」「男
」「個
」
(53) 心 シン こころ
胸の奥にある心臓を象った文字です。ものの真ん中、ものの本質という意味を持っています。部首では多く〈下心〉として、心に秘めること、思うことを表します。漢点字では「
」の形で表されます。
「臓」「中
」「熱
」「
理
」「
許ない」「
掛け」
(54) 口
コウ ク くち
人のクチを象った文字です。人の口ばかりでなく、あらゆるものの入り口・出口、開いた部分を表します。部首としては、大変多く使われています。
「
」「銀
座」「
述」「入り
」「出
」「
」
(55) 囲 イ かこ‐う かこ‐む かこみ
墨字では「井」の字を四角く囲った形です。周囲を囲って守ることを意味します。周りの四角い枠は〈国構え〉と呼ばれます。漢点字では「
」の形で、〈国構え〉を表します。
「周」「範
」「板
い」「
い込む」
(56) 十
ジュウ とお
(漢数字の項、参照)
(57) 止 シ と‐める と‐まる
とど‐める とど‐まる や‐む や‐める
足を止める形を象った文字です。動いていたものがとまる・とめるという意味があります。
「停」「防
」「
血剤」「
堤」「
め
」「
め」
近似文字
(1) 必
ヒツ かなら‐ず
「心」の近似文字です。墨字では「心」の字に、右上から左下へ線が斜めに交差した形です。
「
然
」「
死」「
着」「
ずしも…ない」
(2) 才
サイ わず‐かに
「十」の近似文字です。「十」の字に、右上から左下へ斜めに線が入ります。持ち前のの意味があります。年齢を数えるサイにも用いられます。
「
能」「天
」「秀
」「
覚」「英
教育」
(3) 正
セイ ショウ
ただ‐しい まさ‐に
「止」の近似文字です。例外的に「
」の形を採りました。漢点字の創案者の川上先生は、「正」の五つの画を漢点字で表したかったとおっしゃっておられました。墨字では「止」の上に「一」を乗せた形をしています。真っ直ぐな線に向かって足を止める、真っ直ぐに向き合う、正面から向き合うという意味があります。
「
」「
直」「
」「
形」「
の
と負の
」