5 複合文字(2)
1.第一基本文字と比較文字で構成される文字(1)(承前)
(13) 送  ソウ おく‐る
上に二つの点を付けた「天  」に、「しんにょう」を加えた形の文字です。上に点を二つ付けた「天  」は、ものを手で捧げ持つ形を表しています。おくる≠ニは、ものを運んで人に与える、人との別れに際して、その人を送り出す、亡くなった人との別れ等の意味があります。漢点字では、「 (しんにょう)」と「 (天)」で表されます。
「送別」「送迎」「送金」「郵送」「放送」「送り仮名」「送り主」「先送り」「野辺送り」
※「夫  」を部首として含む文字二つ。
(14) 規  キ
「夫  」の右側に「見  」を置いた形の文字です。「夫  」は矢の形を表していて、真っ直ぐな矢を組み合わせて、整った円を描くことを意味しています。ぶんまわし=Aすなわちコンパスのことです。そこから世の中のルール、「規則、規範、規準」と用いられます。漢点字では、「 (夫)」と「 (見)」で表されます。
「規則」「規範」「規準」「規模」「規律」「規定」「規程」「定規」「法規」
(15) 賛  サン たす‐ける ほ‐める
「夫  」を二つ横に並べて、その下に「貝 」を置いた形の文字です。「夫  」は、元は「先  」で、先へ先へと進めることを意味します。「貝 」は、ものを手で持って捧げる形を表します。さん≠ヘ、脇から手を差し伸べて助けること、同意を示すこと、また、考えや意見に賛同して褒め称えることを表します。漢点字では、「 (貝)」と「 (夫)」で表されます。
「賛成」「賛同」「賛助」「賛美歌」「賞賛」「礼賛」
※「小  」を部首として含む文字。
・「肖  」とそれを部首として含む文字一つ。
(16) 肖  ショウ かたど‐る に‐る
「小  」の下に「肉 」を置いた形の文字です。この「肉 」は、にくづき≠ナす。切ったり削ったりして、小型の似姿を作ることを意味しています。そこから、ちいさい≠ニいう意味も生まれました。不肖≠ニは、親に似ず愚かなことを言います。漢点字では、「 (小)」と「 (肉)」で表されます。
「肖像画」「肖似」
(17) 消  ショウ け‐す き‐える
「さんずい」の右側に「肖  」を置いた形の文字です。水が小さく細って行く様子を表しています。けす、きえる≠ニ読んで、水やものの姿が、細く小さくなって、見えなくなることを意味します。またしょう≠ヘ、控えめであること、ものを費やすことという意味も含んでいます。消火≠ヘ火を消すこと、消化≠ヘ栄養を吸収するための運動と作用、消費≠ヘ生活やレジャーに必要なものを購入し費やすことを言います。漢点字では、「 (さんずい)」と「 (肖)」で表されます。
「消火器」「消化器」「消費」「消極的」
※「低  」の旁を部首として含む文字一つ。
(18) 底  テイ タイ そこ
「まだれ」の中に、「低  」の旁(低の偏は人偏)を置いた形の文字です。「低  」の旁は、「氏  」の下に一を置いた形で、地面を平らに均して、人が住めるようにされた状態を表しています。土地を均すと、周りより低くなります。「まだれ」は、建物を意味していて、均された土地の低いところに建物が建っている様子を表すのが、この文字です。そこ≠ニいう読みは、低いところという意味から生じました。漢点字では、「 (まだれ)」と「 (低の旁)」で表されます。
「海底」「水底」「心底」「底なし」
※「氏  」を部首として含む文字一つ。
(19) 紙  シ かみ
「糸 偏」の右側に「氏  」を置いた形の文字です。「氏  」は、氏族を象徴する刀を象っていますが、ここでは、平らに均すという意味と、し≠ニいう音を表しています。木の皮の繊維を漉き合わせて作るのがかみ≠ナ、糸偏は、その繊維を表しています。漢点字では、「 (糸偏)」と「 (氏)」で表されます。
「紙幣」「和紙」「用紙」「雁皮紙」「羊皮紙」「紙入れ」「美濃紙」 |