「うか」063  シリーズ初回へ  トップページへ

漢点字講習用テキスト
初級編 第4回


    2  基本文字 (2)

 (42)  耳  ジ  みみ
 身体のミミを象った文字です。部首では〈耳偏〉として、耳に関わること、ものを聞くことを表します。
 「 」「 東風」「鼻科」「 問」

 (43)  車   シャ  くるま
 荷車を象った文字です。多く〈車偏〉として、運送、交通、軍事などの意味を表します。
 「両」「 」「 」「荷」「押し

 (44)  門  モン  かど
 建物や敷地の正面にある出入り口、開閉できる扉の付いたモンを象った文字です。部首では〈門構え〉として、何かの入り口、境界の出入りを監視する場所の意味などを表します。
 「正」「裏」「赤」「関」「登竜」「口」「付け」

 (45)  病  ビョウ ヘイ  や‐む やまい
 人の生にとって避けて通れないのが病気です。病気と闘いながら一生を送ると言っても過言ではありません。この字は、墨字では「病垂」に「丙」の形ですが、人が病気にかかって、身体が硬くなって、床に横たわっている姿を表していると言われます。〈病垂〉は、病気や病魔を意味します。漢点字では「 」の形でその〈病垂〉を表します。
 「気」「魔」「成 」「生活習慣」「み衰える」「恋の

 (46)  行  コウ ギョウ アン  ゆ‐く
        おこな‐う
 道の交差し行き交う形を象った文字です。道の交わったところには、人の行き交いも活発になって、市が立ち、町が発達します。「行」の字には、そのような意味が含まれて、活発な運動を表します。部首では〈行人偏〉として、〈行構え〉として、広く人の行動や社会のたたずまいの意味を表します。漢点字でも、「 」の形で、〈行人偏〉〈行構え〉を表します。
 「為」「」「政」「 する」「灯」「脚」「いを慎む」「 知れず」

 (47)  店  テン  みせ たな
 一戸を構えて商品を商う家です。墨字では、「广垂れ」の下に「占」の形で、屋根と壁を持った建物で商いをすることを意味します。漢点字では、「 」の形で、〈广垂れ〉を表します。
 「舗」「主」「員」「先」「賃」

 (48)  月   ゲツ ガツ  つき
 夜、空に上って地上を照らすお月様です。その三日月を象っています。夜を照らす淡い光、約一ヶ月で満ち欠けを繰り返します。その意味で、天体としての月ばかりでなく、時間の単位としても、大きな意味を持っています。
 「 (睦)、 (如)、 (卯)」「満」「 」「

 (49)  肉  ニク
 身体を作っているニク、食物でもあるニクを象った文字です。部首では〈肉月〉として、身体や食物に関わる意味を表します。漢点字でも「 」の形で、〈肉月〉を表します。
 「体」「親」「筋」「骨」「弱

 (50)  分   ブン フン ブ  わ‐ける
      わ‐かる わ‐かつ
 墨字では「八頭」の下に「刀」の形で、刀で肉を切り分ける様子を象っています。「フン」と読んで、時間や角度の単位を、「ブ」と読んで、貨幣や長さや重さの単位を表し、そしてものを分けること、ものごとをよく分けて理解することなどを表しています。漢点字では「 」の形で、〈八頭〉や三角の屋根を表します。
 「離」「解」「 」「 」「 」「 」「別」「かりました」

 (51)  日  ジツ ニチ  ひ
 太陽・おひさまを象った文字です。日の出没を一日として、時間の単位を表します。部首になって、ひかり、暖かさ、自然の恵みを表す文字を作ります。水と大地とこの太陽が、太古から人々の生の拠り所だったのでした。それは、現在も変わりありません。
 「光」「 」「 」「 」「休」「」「

 (52)  性   セイ ショウ  さが
 墨字では「立心偏」に「生」の形で、ものの性質や性格を表す文字です。〈立心偏〉は「心」の字形が変化したもので、心の状態や動きを表す部首です。また、男女の「セイ」も表します。漢点字では「 」を、〈立心偏〉として用います。
 「質」「格」「別」「 」「男」「個

 (53)  心  シン  こころ
 胸の奥にある心臓を象った文字です。ものの真ん中、ものの本質という意味を持っています。部首では多く〈下心〉として、心に秘めること、思うことを表します。漢点字では「 」の形で表されます。
 「臓」「中」「熱」「」「許ない」「掛け」

 (54)  口   コウ ク  くち
 人のクチを象った文字です。人の口ばかりでなく、あらゆるものの入り口・出口、開いた部分を表します。部首としては、大変多く使われています。
 「 」「銀 座」「述」「入り」「出」「

 (55)  囲  イ  かこ‐う かこ‐む かこみ
 墨字では「井」の字を四角く囲った形です。周囲を囲って守ることを意味します。周りの四角い枠は〈国構え〉と呼ばれます。漢点字では「 」の形で、〈国構え〉を表します。
 「周」「範」「板い」「い込む」

 (56)  十   ジュウ  とお
 (漢数字の項、参照)

 (57)  止  シ  と‐める と‐まる
      とど‐める とど‐まる や‐む や‐める
 足を止める形を象った文字です。動いていたものがとまる・とめるという意味があります。
 「停」「防」「血剤」「 堤」「」「 め」


      近似文字

 (1)  必   ヒツ  かなら‐ず
 「心」の近似文字です。墨字では「心」の字に、右上から左下へ線が斜めに交差した形です。
 「 」「 死」「 着」「 ずしも…ない」

 (2)  才   サイ  わず‐かに
 「十」の近似文字です。「十」の字に、右上から左下へ斜めに線が入ります。持ち前のの意味があります。年齢を数えるサイにも用いられます。
 「 能」「天 」「秀 」「 覚」「英 教育」

 (3)  正   セイ ショウ
      ただ‐しい まさ‐に
 「止」の近似文字です。例外的に「 」の形を採りました。漢点字の創案者の川上先生は、「正」の五つの画を漢点字で表したかったとおっしゃっておられました。墨字では「止」の上に「一」を乗せた形をしています。真っ直ぐな線に向かって足を止める、真っ直ぐに向き合う、正面から向き合うという意味があります。
 「 」「 直」「 」「 形」「 と負の


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