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漢点字講習用テキスト
初級編 第24回
    4  基本文字(3)… 比較文字

 3.長さ、重さ、容積の単位を表す比較文字

 ここでは、〈比較文字〉の内で、長さと距離・重さ・容積の単位を表す文字を、ご紹介します。

 ※長さと距離の単位を表す比較文字。
 (27)  尺   シャク セキ
 小さい「口」の左の縦線が左斜め下に伸びて垂れた形(しかばね)と、その根本から、右下へ斜めの線が引かれた形の文字です。しゃく≠ヘ、1メートルの33分の10、すなわち、約30センチメートルの長さを表す単位です。時代によって、場所によって、その長さには相違がありますが、手の指を広げた幅に由来すると言われます。現在では尺を長さの単位として用いることは少なくなりましたが、言葉の中には、まだまだ生きています。また、これを部首として含む漢字も沢山あります。漢点字では、「 」で表されます。
 「尺貫法」「尺取虫」「曲尺(かねじゃく)」「鯨尺」「巻き尺」

 (28)  寸   スン
 縦横の線が、やや右寄りで交差して、縦の線が下で左に撥ねた形、また、線の交差の左下に点を入れた形の文字です。指1本分の長さを表すと言われます。単位としては、1尺の10分の1の長さ、すなわち、約3センチメートルに当たります。ほんの僅か、極めて少ない数、ちょっとだけという意味を表す文字です。漢点字では、「 」で表されます。
 「寸志」「寸法」「寸借詐欺」「一寸(ちょっと)」「燐寸(マッチ)」「一寸の虫にも五分の魂」

 (29)  丈   ジョウ  たけ
 十字に交差した縦の線の下が左に向かい、それに右斜め線が人の字形に交わった形の文字です。人の字形も、右斜め線が、交差した所よりも少し上に出ます。手を広げて長さを計る形を表していると言われます。この長さは、尺の十倍、すなわち、約3メートルです。背の高さ、背の高い人、丈夫≠ニは、体躯の立派な人の意です。方丈≠ニは、1辺が1丈の四角形の意味で、今の四畳半(1間3尺、つまり9尺四方)よりやや広い正方形です。修行僧の庵を呼ぶ語として用いられます。漢点字では、「 」で表されます。
 「大丈夫」「気丈夫」「方丈記」「背丈」「丈比べ」「有りっ丈」「首っ丈」「思いの丈」

 (30)  里   リ  さと
 四角く区切りをつけた「田」の下に「土」を置いた形の文字です。さと≠ヘ、都会ではない、また山間でもない、田畑を区切って耕作して生活している所、かつては生産の中心であった農業地域を意味します。そこから、嫁ぎ先から見た実家、成長した子供が独立した所から見た親元という意味に使用されます。もう一つ、り≠ニ読んで、耕作する面積を区切ることから、距離の単位としても用いられるようになりました。古く中国では、一里を約五百メートルとしていますが、現在の日本では、約三九二七メートルです。単位は、時代と場所によって、大きな変化を見せます。漢点字では、「 」で表されます。
 「里程標」「里芋」「里親」「里帰り」「里言葉」「山里」「村里」

 ※重さの単位を表す比較文字。
 (31)  貫   カン  つらぬ‐く
 元は丸い貝殻を連ねた形に由来する文字と言われます。宝玉に穴をあけて紐を通すという意味です。つらぬく≠ニは、最初から最後までやり通す、1本筋を通すという意味で、穴に紐を通して連ねたことから生じました。またかん≠ニ読んで、重さの単位としても用いられます。1貫は、約3.75キログラムです。漢点字では、「 」で表されます。
 「貫通」「貫徹」「貫頭衣」「尺貫法」「十貫目」

 (32)  匁   もんめ め
 カタカナの「ク」とカタカナの「メ」を重ねた形の文字です。重さの単位で、我が国で作られた国字です。もんめ≠ヘ、1貫の千分の1の重さで、約3.75グラムです。単にめ≠ニも言います。また、江戸時代の貨幣の単位「文」(このテキストでは、まだ出て来ていません。)の意味にも用いられました。漢点字では、「 」で表されます。
 *カタカナの「ク」の形の印が頭につく文字があります。漢点字では、「」で表すことが多いようです。この「匁 」の漢点字符号に由来していると理解してよいのではないかと思います。
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