漢点字講習用テキスト 初級編 第23回 |
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4 基本文字(3)… 比較文字 2.対、あるいはグループをなす比較文字(2) ※「東・西・南・北」 (17) 東 トウ ひがし あずま 東の方から朝日が昇って、木の間を通して高い樹木を影にして見えている形を象った文字と言われます。ひがし≠ニは、日の出る方角を言います。あずま≠ニ読んで、未開の地を意味して、我が国では、平安時代から、関東地方をそう呼んでいました。漢点字では、「 」で表されます。 「東京」「東海道」「東山道」「東亜」「関東」「東の方」「東下り」 (18) 西 セイ サイ にし 篭状の鳥の巣を象った文字と言われます。鳥が日暮れに巣へ帰ることから、日暮れに日の落ちる方角、つまりにし≠意味するようになったと言われます。にし≠ヘ、仏教が伝来した方角であることから、浄土のある方とされています。また現在では、欧米の西欧諸国を、「西洋」と呼んで、中国や日本を「東洋」として相対して捕らえるようになりました。我が国では、「関西」と呼んで、箱根山の東の関東に対して、近畿地方を中心とした地域を指しています。漢点字では、「 」で表されます。 「西洋」「西方浄土」「関西」「西の方」「西日」 (19) 南 ナン みなみ 南向きの建物を象った文字と言われます。南に開いた建物で、暖気を取り入れることを表しています。みなみ≠ヘ、日の差す方、暖かい方、作物の実り豊かな方の意味があります。北半球、特に北方の地域では、建物に暖気を取り入れる工夫が欠かせませんでした。漢点字では、「 」で表されます。 「南方」「南海道」「南極」「東南亜細亜」「南十字星」 (20) 北 ホク きた そむ‐く 二人の人が背を向けている姿を象った文字です。そこから寒い、背を向けたくなる方角、つまりきた≠意味するようになりました。また、背を向け合っている姿から、そむく≠フ意味も生じました。漢点字では、「 」で表されます。 「北方」「北面」「北極」「北斗七星」「南船北馬」「敗北」 ※「鶴」と「亀」 (21) 鶴 カク つる 冬、シベリアから我が国へやって来る、渡り鳥のつる≠ナす。頚と足が長く、胴体は概ね白い色です。「亀 」とともに、古くからめでたい動物とされています。『万葉集』では、たず≠ニ呼ばれていました。また、長身痩躯の老人のたとえにも用いられます。漢点字では、「 」で表されます。 「鶴の一声」 (22) 亀 キ かめ 動物のかめ≠象った文字です。鶴と一対をなして、めでたい動物とされています。堅く丈夫な甲羅に包まれていて、長寿の象徴とされています。古く中国では、甲羅を火に翳して、吉凶を占いました。漢点字では、「 」で表されます。 「亀裂」「亀甲」「鶴と亀」 ※「互」と「皆」 (23) 互 ゴ たが‐い 二つのものが噛み合っている形を象った文字です。たがい≠ニ読んで、うまく噛み合っていること、協力し合うことを意味しています。漢点字では、「 」で表されます。 「互恵」「互換性」「互角」「互助会」「相互」「交互「相身互い」 (24) 皆 カイ みな みんな この文字は〈比較文字〉ではありません。漢点字の字形が、〈比較文字〉と同じになりましたので、このように整理してみました。「比」の下に「白 」(このテキストには、まだ登場していません)の形の文字です。従って字形が「 」となりました。上の「比」は、人が並んでいる様子を表しています。多くの人が一緒に協力して行う、力を合わせるという意味から、みな≠フ読みが生じました。漢点字では、「(比)」と「(白)」で表されます。 「皆無」「皆勤手当」「皆既日食」 ※「凸」と「凹」 (25) 凸 トツ ものが突き出した形を象った文字です。漢点字では、「 」で表されます。 「凸面体」「凸レンズ」 (26) 凹 オウ へこ‐む ものがへこんだ形を象った文字です。漢点字では、「 」で表されます。 「凹面体」「凹凸」「凹レンズ」 |
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