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漢点字の散歩(23) 岡田 健嗣 |
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漢点字紹介(6) 4. 漢点字のご紹介 B 複合文字 (1)(承前) 化とこれを含む文字 (31) 化 カ ケ ばける 人偏 + ヒ この文字は二人の人を逆さに並べた形で、物事の移り変わりを表しています。字式では旁をカタカナのヒを使用しましたが、漢点字では人が二人並んでいる「比」を使いました。偏は第二人偏の「」を使用しました。 熟語: (化学) 合(化合) 文 (文化) 変 (変化) (32) 花 カ ケ はな 草冠 / 化 樹木や草に咲くハナを表す文字です。草冠で草を、化でその草が変化することを表します。漢点字では「」で草冠を、「」で化を表します。人偏を省略しました。 熟語: 瓶(花瓶) 壇(花壇) (33) 貨 カ 化 / 貝 貝は子安貝の貝殻を象って、古代の中国で貨幣として使われました。化は物事の移り変わりを表す文字で、この文字は貨幣を使用して財貨を交換することを表します。漢点字では「」で貝を、「」で化を表します。左右が逆になっています。 熟語: 幣(貨幣) 物(貨物) 財 (財貨) 硬 (硬貨) 火を含んだ文字 (34) 炎 エン ほのお 火 / 火 火を二つ重ねて、火が燃えている様子を表す文字です。火は燃え上がる炎を象っています。燃え上がる炎だけでなく、熱い・暑いという意味を表します。漢点字では「」と「」、火を二つ並べて表します。 熟語: 熱(炎熱) 暑(炎暑) 症(炎症) (火炎) * 炎には、「タン、ダン」という音もあります。 (35) 談 ダン かたる 言偏 + 炎 熱心に語り合い、話し合う様子を表す文字です。言偏で話をすることをあらわして、炎は「ダン」という音を表します。漢点字では「」で言偏を、「」で炎を表します。 熟語: 笑(談笑) 論(談論) (相談) 密 (密談) (36) 秋 シュウ あき ノ木偏 + 火 季節の秋を表す文字です。ノ木偏は穀物の実りを表し、火は害虫を火で駆除する様子を表すと言われます。漢点字では、「」でノ木偏を、「」で火を表します。 熟語: (秋分) 麗(秋麗) 麦 (麦秋) 中 の名(中秋の名月) * 下から火を燃やして煮炊きすることを表す連火(または列火)があります。四つ点で表しますが、漢点字では「」で表します。そこで連火の字式を「」で示します。 (37) 点 テン つける ともす 占 / (連火) 小さな狭いところの意味の文字です。占は店に含まれている文字で、店の片隅を表します。連火は、黒に由来していて、黒い点の意味です。小さな印や点数を表します。また火や明かりをつける、ともすとも用います。漢点字では、「」で占を、「」で連火を表します。 熟語: (点数) (点火) 灯(点灯) 焦 (焦点) (38) 然 ゼン ネン しかり (肉月 + 犬) / (連火) 犬の肉を下から火で炙る様子を表す文字です。元は火が燃えることを表していましたが、「しかり、しかれども」という意味に使用されるようになって、燃えるという文字は、新たに作られました。漢点字では、「」で犬を、「」で連火を表します。肉月は省略されました。 熟語: 全 (全然) 天 自 (天然自然) (39) 燃 ネン もえる 火偏 + 然 然に火を加えて、然の元の「もえる」という意味を表す文字となりました。漢点字では、「」で火偏を、「」で然を表します。連火は省略しました。 熟語: 焼(燃焼) 費(燃費) 料(燃料) 内 機関(内燃機関) 門構えで構成される文字 (40) 間 カン ケン あいだ ま 門構え > 日 門構えの中に日を置いた形、内と外とを隔てるという意味を表します。物と物とのあいだ、時と時とのあいだという意味の文字です。漢点字では、「」で門構えを、「」で日を表します。 熟語: 隔(間隔) 仕切り(間仕切り) 時 (時間) 客 (客間) (41) 聞 ブン きく きこえる 門構え > 耳 門構えの中に耳を置いた形の文字です。耳で聞いて知ること、耳で聞き分けることを表しています。漢点字では、「」で門構えを、「」で耳を表します。 熟語: 香(聞香) 新 (新聞) は に如かず(百聞は一見に如かず) (42) 問 モン とう たずねる 門構え > 口 門構えの中に口を置いた形の文字です。人にものを問う、聞くことを表します。漢点字では、「」で門構えを、「」で口を表します。 熟語: 題(問題) 答(問答) 質 (質問) 訪 (訪問) 囗(国構え)で構成される文字 (43) 回 カイ まわる まわす めぐる 囗(国構え) > 口 国構えの中に口が置かれた形の文字です。川の流れが淵を作って、水が渦を巻く様子を象っています。「まわる、まわす、めぐる」と読んで、一巡することを一回と言います。漢点字では、「」で国構えを、「」で口を表します。 熟語: 復(回復) 答(回答) 覧(回覧) 巡 (巡回) (44) 国 コク くに 囗(国構え) > 玉 国構えの中に玉を置いた形の文字です。国土を守ることを表しています。漢点字では、「」で国構えを、「」で玉を表します。 熟語: (国家) (国土) (日本国) (45) 困 コン こまる 囗(国構え) > 木 国構えの中に木を置いた形の文字です。門を止め木で開かなくして、出入りができなくなることを表しています。動けなくなって、進退に窮まることを意味します。漢点字では、「」で国構えを、「」で木を表します。 熟語: 窮(困窮) 難(困難) 憊(困憊) 貧 (貧困) 古とそれを含む文字 (46) 古 コ ふるい いにしえ 十・口 十と口で構成される文字です。安寧が永続することを祈る意味を表します。永く続くところから「ふるい、いにしえ」の意味で用いられます。漢点字では、「」で口を、「」で十を表します。左右が逆になっています。 熟語: 今(古今) (古来) 懐 (懐古) 復 (復古) (47) 苦 ク にがい くるしい くるしむ 草冠 / 古 草冠の下に古を置いた文字で、苦味のつよい草を表しています。苦い味を味わうことから苦しい・苦しむと用いられています。漢点字では、「」で草冠を、「」で古を表します。口が省略されます。 熟語: 労(苦労) (苦心) (困苦) (病苦) (48) 枯 コ かれる からす 木偏 + 古 木と古で構成された文字です。植物が古くなって、乾燥して枯れることを意味します。漢点字では、「」で木偏を、「」で古を表します。口が省略されます。 熟語: 渇(枯渇) (枯木) 栄 盛衰(栄枯盛衰) (49) 固 コ かたい かたまる かためる 囗(国構え) > 古 国構えの中に古を置いた形の文字です。古は永く続くことを意味しています。国構えは周りを囲んで出入りができない様子を表して、永く変わらない、固い・固まるの意味に用いられます。漢点字では、「」で国構えを、「」で古を表します。 熟語: 有名(固有名) 執(固執) 辞固辞) 頑 (頑固) (50) 個 コ 人偏 + 固 人偏と固で構成される文字です。相手のないこと、一つの意味を表します。個々と言えば、各々、一人一人の意味になります。また物を一つずつ数える単位としても用いられます。漢点字では、「」で人偏を、「」で固を表します。古が省略されます。 熟語: (個人) (個性) 別(個別) 各 (各個) 舌とそれを含む文字 (51) 舌 ゼツ した 千・口 口の中の舌を象った文字です。言葉を話すことを表す語として用いられます。漢点字では、「」で口を、「」で千を表します。左右が逆になっています。 熟語: 鋒(舌鋒) 弁 (弁舌) 鼓(舌鼓) 打ち(舌打ち) (52) 活 カツ いきる さんずい + 舌 舌にはカツという音もあって、この文字はその音を取ってカツといいます。生き生きしてして活動的な様子を表します。漢点字では、「」でさんずいを、「」で舌を表します。口は省略されます。 熟語: (活発) 動(活動) 生 (生活) け (活け花) (53) 話 ワ はなす はなし 言偏 + 舌 言偏と舌で構成される文字です。舌を使ってものを言うこと、話をすることを表します。漢点字では、「」で言偏を、「」で舌を表します。口が省略されます。 熟語: 題(話題) 会 (会話) 電 (電話) し上に き上(話し上手に聞き上手) 行人偏と行構え (54) 徒 ト かち いたずらに 行人偏 + 走 行人偏と走で構成された文字です。行人偏は道を表します。徒歩で行く、手に何も持たずにことを行うことを表します。漢点字では、「」で行人偏を、「」で走を表します。 熟語: 歩(徒歩) (徒手) 生 (生徒) (55) 街 ガイ カイ まち 行構え > 圭 (圭 土/土) 行構えの中に土を二つ重ねた形の圭を置いた形の文字です。広い道が縦横に交差している様子を象っています。漢点字では、「」で行構えを、「」で圭を表します。 熟語: 路(街路) 道(街道) 灯(街灯) 商 (商店街) 方を含む文字 (56) 芳 ホウ かんばしい 草冠 / 方 草冠の下に方を置いた形の文字です。よい香りのする花を表しています。漢点字では、「」で草冠を、「」で方を表します。 熟語: 香(芳香) 名(芳名) 醇(芳醇) (57) 訪 ホウ おとずれる たずねる とう 言偏 + 方 言偏と方で構成される文字です。 人を訪ねることを表します。漢点字では、「」で言偏を、「」で方を表します。 熟語: (訪問) (来訪) 歴 (歴訪) (訪日) 女を含む文字 (58) 好 コウ このむ すく 女偏 + 子 女偏と子で構成される文字です。若い母親が子を抱いて慈しむ姿を象っています。漢点字では、「」で子を、「」で女を表します。左右が逆になっています。 熟語: 物(好人物) 印象(好印象) き み(好き好み) き嫌い(好き嫌い) (59) 姉 シ あね 女偏 + 市 女偏と市で構成される文字です。シの音は旁の市に由来して、年長の女性を表します。漢点字では「」で女を、「」で市を表します。 熟語: 妹(姉妹) 弟(姉弟) (兄姉) 十を含む文字 (60) 計 ケイ はかる はからう 言偏 + 十 言偏と十で構成される文字です。はかる、計測するという意味、はからう、計画するという意味を表します。漢点字では、「」で言偏を、「」で十を表します。 熟語: 測(計測) 量(計量) 画(計画) 時 (時計) (61) 針 シン はり 金偏 + 十 金偏と十で構成される文字です。金属の針をあらわしています。縫合用の針と、治療用の針、真っ直ぐな針を表します。漢点字では、「」で金を、「」で十を表します。 熟語: 灸(針灸) 運 (運針) 指 (指針) (方針) (62) 有 ユウ ウ ある ナ / 月 字式ではカタカナのナに似た形を「ナ」で表します。このナの形は手を象っていて、月は肉を表します。肉を手で持って、供え物をすることを表す文字です。漢点字では、「」でナを、「」で月を表します。カタカナのナの形を「十」で表します。 熟語: 無(有無) 利(有利) 所 (所有) り難う(有り難う) (63) 布 フ ぬの ナ / 巾 カタカナのナと巾(市の下の形)で構成される文字です。カタカナのナは、父に由来するもので、麻の布を表します。漢点字では、「」でナを、「」で巾を表します。 熟語: 団(布団) 布巾(布巾) 頒 (頒布) 毛 (毛布) 車を含む文字 (64) 軍 グン いくさ ワ冠 / 車 ワ冠の下に車を置いた形の文字です。車は将軍の乗る車、ワ冠は車に立てられて靡いている旗で、軍隊を指揮している姿を表しています。漢点字では、「」でワ冠を、「」で車を表します。 熟語: 隊(軍隊) 救世 (救世軍) (十字軍) (65) 庫 コ ク くら 广(まだれ) > 車 广(まだれ)と車で構成される文字です。广は建物を表し、車は戦車を意味します。戦車を保管するための建物です。漢点字では、「」で广を、「」で車を表します。 熟語: 裏(庫裏) 倉 (倉庫) (車庫) 書 (書庫) (66) 連 レン つらなる つらねる つれる しんにょう + 車 しんにょうと車で構成される文字です。元は物を運ぶことを表しましたが、わが国では「つらなる、つらねる、つれる」と訓読します。漢点字では、「」で進にょうを、「」で車を表します。 熟語: 帯(連帯) 委隊(連隊) 体形(連体形) れ(子連れ) その他 (67) 社 シャ やしろ 示偏 + 土 示偏と土で構成される文字です。土は神を祭る祭壇を表して、示は供物を載せる台を表します。現在では人が集まって力を合わせることを意味しています。漢点字では、「」で示偏を、「」で土を表します。 熟語: 会(社会) 会 (会社) 団法(社団法人) 寺 (寺社) (68) 明 メイ ミョウ あきらか あかるい あける 日偏 + 月 日偏と月で構成される文字です。窓から月光が差し込む様子を表して、闇の中に光が差して、明るく照らし出して、明らかに見えることを表します。漢点字では、「」で日偏を、「」で月を表します。 熟語: 暗(明暗) 解(明解) 光 (光明) 賢 (賢明) (69) 味 ミ あじ あじわう 口偏 + 未 口偏と未で構成される文字です。未は植物の新芽を表していて、柔らかく味がよいという意味を表します。漢点字では、「」で口偏を、「」で未を表します。 熟語: 覚(味覚) (意味) 吟 (吟味) (70) 体 タイ テイ からだ 人偏 + 本 人偏と本で構成される文字です。人の身体の形や姿を表す文字です。漢点字では、「」で人偏を、「」で本を表します。 熟語: 格(体格) (体力) (車体) 形(連体形) |
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