「うか」058  トップページへ

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みどり学級へのサービス(3)
            
みどり学級での催し物(1)

                               
山内 薫(墨田区立緑図書館)

 前回と前々回にもみどり学級で行った大型絵本や、こいのぼりの歌、そして長いヘビの人形を使った遊びなどを紹介したが、日頃どんなことをどんな工夫をして行っているかを2回にわたってご紹介しようと思う。

まんじゅうこわい
1−佐山さんの「まんじゅうこわい」
2−竹内−ことば遊び
3−歌ふしぎなポケット
4−拍子木をたたく
5−紙芝居「おおきくおおきくおおきくなあれ」
6−巨大ケーキ登場
7−ちいさくちいさくちいさくなあれ
8−拍子木を打ってお話会のおしまい


 今回は丁度1年目の2004年3月11日におこなった出し物を写真と共に見て頂こうと思う。この日は山内、竹内、樋浦(ひうら)の職員3人と慶応大学の図書館学科の学生、佐山さんの4人でみどり学級を訪れた。佐山さんは卒論のテーマに高齢者への図書館サービスを選んだため、緑図書館の高齢者サービスを見学するために何度も来館してくれ、そのたびに得意のピアノを弾いてくれたりしていた。

 この日はまず佐山さんが落語絵本の『まんじゅうこわい』を読んでくれた(写真1)。絵がはっきりしていて話も分かりやすいので、子供たちの反応も上々だった。次に竹内が、ことば遊びをやった(写真2)。黒板に「たんぽぽ」と書いて、子どもたちに「た」のつくことばをいろいろ言ってもらい、その言葉を黒板に書いていき、手を叩きながら「たんたんたんぽぽ、たぬき、たいこ・・・・・」と黒板に書いた文字を順々にみんなで唱和していった。「た」の次には子どもたちの名前を黒板に書いて、名前の頭文字と同じものを言ってもらった。「さゆり」ちゃんなら「さゆり、さかな、さんま、さる、…」、「なな」ちゃんなら「なな、なす、なのはな、なし…」とやはり黒板に書いて、手拍子に合わせて唱えていく。このことば遊びは、「まりな」ちゃん、「しょうこ」ちゃんと続くのでだいぶ長くなり、ちょっと単調になってきたので、山内はやおらピアノに走り、手拍子に合わせて適当な和音を手拍子に合わせて弾いていった。できれば事前に打ち合わせしておき、ちょっとしたメロディや和音を初めから使って、ことば遊びを組み立てれば良かったと思った。その後、竹内が絵本を一冊読んだ。

  次に大きな字で紙に書いた「ふしぎなポケット」の歌詞を黒板に貼り、佐山さんにピアノで伴奏してもらって、みんなで歌を唄った(写真3)。山内が着るチョッキに3つのポケットが付いているので、左右に2つずつ、胸に1つのチョコレート(ビスケットがなかったので袋入りのホワイト・チョコレートを使った)を入れて「ポケットの中にはビスケットが1つ、ポケットをたたくとビスケットは2つ・・・・」と歌いながら実際にポケットをたたいてチョコレートを出していった。この歌は前回ご紹介したK君がとても気に入ってくれ、この時以降も何度かふたりで一緒に唄うようになった。

 歌の後、紙袋の中からおもむろに拍子木を取り出し、カチカチと打ちながら山内が登場(写真4)「さて私は何やさんでしょう?」と聞くと、Sさんがすかさず「紙芝居やさん」といってくれたので、大きな紙袋から木の紙芝居舞台を取り出し、紙芝居を始めた。紙芝居は「おおきくおおきくおおきくなあれ」(まついのりこ作、童心社)で、表紙には小さな豚の絵が書いてある。「ここに、ちっちゃな ちっちゃな ぶたさんがいますよ。ちっちゃいですねえ。みんなで、おおきく おおきくなあれって いってみようか。いち にの さん はい。おおきく おおきく おおきくなあれっ。」と観客に「おおきく、おおきく、おおきくなあれっ」といってもらいながら表紙を抜くと次の場面に大きな豚の絵が登場する(写真5)。こうして一場面一場面観客に言葉を唱えてもらいながら紙芝居は進行するが、みどり学級では5人の子供たち1人1人に交替で「おおきくおおきくおおきくなあれ」と唱えてもらった。豚、卵、恐竜、そしておしまいに小さなケーキが出てくるが、このケーキは1度では大きくならず、まずはじめは中くらいのケーキになり、もう1度「おおきくおおきくおおきくなあれ」と唱えると画面一杯の大きなケーキになる。毎月第1木曜日の午前中に行っている「小さい子どものためのお話会」では、さらにもう1度子供たちに「おおきくおおきくおおきくなあれ」と唱えてもらうと舞台の後ろから段ボールで作った巨大なケーキが登場するという仕掛けを作って観客を驚かせた(写真6)。しかし、みどり学級では段ボールの大きなケーキを隠しておくところがないので、最後の場面から今度は逆に1人1人に「ちいさくちいさくちいさくなあれっ」と唱えてもらって、小さいものが描いてある前の場面に戻っていくという展開にした。そして最後の表紙の小さい豚まで戻り、もう1度「ちいさくちいさくちいさくなあれっ」と唱えてもらって、木の紙芝居ケースをバタッと前に倒すとそこに、体長2センチの小さなマグネットの豚が出てくるという仕掛けにした(写真7)。おしまいに再度拍子木をたたいて今日のお話会が終わった(写真8)。

 ところでこの小さなマグネットの豚は4個セットで売られていて、丁度みどり学級の人数と同じなので、みんなにあげようと思って持って行った。

9−豚のマグネット

ところが当日行ってみたら葛飾区から転校してきたYさんが増えて5人になっていたために1つ足りなくなってしまった。図書館に帰ってから製作している会社を調べると何と会社名が「MIDORI」で、会社も墨田区内にあることが分かった。早速自転車で10分程のその会社に行って、もう1セット購入し、1つ1つ子供たちにあげることができた。これも何かの縁と思われた。


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