「うか」122号 トップページへ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
点字から識字までの距離(115) 通所支援事業所へのサービス(5) 山 内 薫 |
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キッズサポートりまへの4回目の訪問
図書館側の参加者はひきふね図書館職員3名、筑波大学大学院生のKさん、放課後等デイサービス事業所に勤務し、音訳もやっているRさん、そしてわたしの6名。(写真1) 実は、梅雨も近いので雨をテーマにしたお話し会を計画したのだが、所長から次のようなメールを頂いた。 「『出張おはなし会』(活動プランで、この名称を使わせて頂いております。勝手に命名致しまして、申し訳ありません)は何卒宜しくお願い申し上げます。 テーマとして「梅雨」を御検討頂いているのこと、大変差し出がましいですが、「梅雨」ですと少々、子どもたちに理解しづらい・受け入れづらい感があります。 御存知のとおり、外出の際は車椅子利用の子どもたちが殆どであり、雨降りの際は、全身、車椅子ごと覆うような雨具を使う必要がある、また、湿気は呼吸器にも影響を及ぼすことから、子どもたちには辛い時期でもあります。 また、児童書に登場するような『傘』を使ったことの無い子どもたちですので、その点でも選書は難しいのではないか、とも思います。当方からテーマとして提案させて頂ければ、お越し頂く28日は、その2日前に小学生たちの運動会、次々週末の6月9日が中高生たちの体育祭という時期に当たることから、『運動会』『運動』といったテーマではいかがでしょうか。 子どもたちは身体にハンディキャップはありますが、体を動かすことは非常に好きですし、何より、賑やかな場はとても好まれます。運動会の時期に絡めて、選書を御検討頂けますと有難く存じます。お願いのうえに、図々しいお願いを重ねますことを、お詫び致します。」 そこで、急遽テーマを「運動会」に変更して本を選び、持って行くこととなった。 子どもたちの内、1人で座ることのできる子どもは1人で、その他の3人は大人の膝の間で身体を起こして聞き、もう1人は座位保持椅子に座っておはなしを楽しんだ。 初めに図書館からの訪問者の紹介があり、まずRさんが『うんどうかいがなんだ!』(作 きむらゆういち、絵 大木あきこ 新日本出版社)を読んだ。(写真2) 次に私が『おやおやおやさい』(文 石津ちひろ、絵 山村浩二 福音館書店)の行事用大型絵本を読んだ。この絵本は12種類の野菜たちがマラソン大会を繰り広げる絵本で、「にんきもののにんにく きんにく むきむき」「ラデッシュ だんだん ダッシュする」「はくさい はくしゅは てれくさい」等々ページごとに簡単な言葉遊びによって展開する。 次は図書館員のSさんが『つなひきライオン』(作 まどみちお 絵 北田卓史 ひさかたチャイルド)、次に筑波大学のKさんが、カエルたちが蛇で綱引きをする行事用大型絵本『はなすもんかー!』(作・絵 宮西達也 鈴木出版)次に図書館員のOさんが『ぼくかけっこはやいよ』作・絵 中谷貴子 鈴木出版)を読んだ。(写真4、5、6、7) その後は図書館から持ってきた運動会に関する絵本を20冊ほどフロアに並べてそれぞれ希望の絵本を読むことにした。(写真8) 座位保持椅子に座っていた男の子は、赤塚不二夫のさわる絵本『よーいどん』(作・絵 赤塚不二夫 小学館)にとても興味を示し、透明の樹脂インクで盛り上がって印刷されている線を職員と一緒にたどって次々とページをめくっていた。(写真9、10) 気管切開で呼吸器を付けている子は施設の職員に『10ぴきのかえるのうんどうかい』(作 間所ひさこ 絵 仲川道子 PHP研究所)を読んでもらって、楽しそうに声をあげて笑っていた。その後続けて2冊を読んでもらっていた。彼はこの日マルチメディアDAISY図書を含めて5冊の絵本を楽しんだ。(写真11、12、13) 私は、横臥状態の子どもにiPadに収納されているマルチメディアDAISY図書『コッケモーモー!』(作 ジュリエット・ダラス=コンテ 絵 アリソン・バートレット 訳 たなかあきこ 徳間書店)を見てもらった。(写真15)以前部屋を暗くしてマルチメディアDAISY図書を天井に投影し、全員横臥状態で見てもらったことがあるが、写真14のように、職員に抱きかかえられながら見るよりも楽な姿勢なので、絵本に集中できるようだった。(なお掲載の写真は大部分省略されていますが、横浜漢点字羽化の会のホームページhttp://www.ukanokai-web.jp/には本文と共に全部が掲載されています。鮮明な写真を見ることができますので、是非ご覧下さい。)
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