「うか」124号 トップページへ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
点字から識字までの距離(117) 通所支援事業所へのサービス(7) 山 内 薫 |
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キッズサポートりまでの音楽を中心としたお話し会 前回ご紹介したほわわ墨田でもそうだったが、障害児施設でのお話し会や図書館や児童館で実施している乳幼児対象のお話し会では、歌や音楽が大きな力を持っていることを日々実感している。児童館の小さい子どものためのお話し会には生後6ヶ月や9ヶ月という赤ちゃんが何人も参加してくれるが、絵本を読んでいて言葉に少しでもリズムや抑揚を付けると読み手の方にさっと顔を向ける。また絵本のせりふを歌にしたり、歌の入ったパネルシアターなどをやると、抱っこしているおかあさんもリズムに合わせて身体を揺さぶり、赤ちゃんを揺り動かすので、身体全体でお話しを楽しむことになる。 2019年の夏休み、7月31日のお話し会は、りまの要望で音楽を中心としたプログラムでお話し会を実施した。参加してくれたのはりまの児童発達支援事業にきている幼児1名、放課後等デイサービスにきている小学生5名、中学生2名の計8人、幼児のお母さんも参加して下さった。図書館側は私とひきふね図書館の職員2名の他に隣の台東区のお話しグループ「おはなしはらっぱ」のKさんが飛び入り参加して下さった。「おはなしはらっぱ」は台東区で活動するグループで台東区のホームページには、次のようなグループPRが載っている。「絵本手遊び等を楽しく学びながら、おはなし会を届けています。赤ちゃんからお年寄りまで地域の沢山の人にお話の世界を楽しんでもらいながら、それがみんなの心の栄養になれば嬉しいです。」 「おはなしはらっぱ」は、台東区鳥越の助産院で毎月赤ちゃん向けのお話し会を行っている。「とりこえ助産院 赤ちゃんのひろば11ヶ月からの赤ちゃんが集まれる広場です」というネット上のチラシに「とりこえサロンmini 〝おはなしはらっぱ〟さんの手あそび・わらべうたや絵本の読み聞かせなど遊びながら広場で過ごせます。助産師もいます。対象:興味ある方ならどなたでも、定員:15人程度、料金:大人1人500円 公益社団法人 日本助産師会」とある。 Kさんは元々市立の保育園に長年勤めていたという。
次に私が替え歌の絵本『ねばらねばなっとう』(林 木林著、たかお ゆうこ絵、わくわくユーモアえほん、ひかりのくにを紙芝居化したもの)を歌いながら行った。「静かな湖畔」の「カッコー カッコー カッコカッコカッコー」の部分を「ナットー ナットー ナットナットナットー」と歌うのだが、その部分の「♪ソミー ソミー ソミソミソミ-」のところだけ2本のリコーダーで伴奏してもらった。 次は三浦太郎の絵本『でんしゃがきました』(童心社)を読んだ。 「でんしゃはガッタン ふみきりカンカン でんしゃはゴッ トンふみきりカンカン あれあれ なんだか いいにおい ねずみさんの まってる さんかくえきに ちいさい チーズの でんしゃがきました しゅっぱつしんこう! チン チン」 と、いろいろな動物が待っている駅にいろいろなでんしゃが来る。 「うさぎさんの まってる サラダえきに やさいたっぷりでんしゃ」が 「ライオンさんの まってる ジュージューえきに おにくの きかんしゃ」が 「ぞうさんの まってる パフェえきに フルーツパフェの かもつれっしゃ」が 「くまさんの まってる バターえきに やきたてパンの でんしゃ」が 「かっぱさんの まってる さびぬきえきに とくじょう おすしでんしゃ」が 「わたしの まってる ごはんえきに れんけつした おとうさんと おかあさんのしょくどうしゃ」が そして、奥付ぺーじには絵だけで「べつばらえき」が描かれ、次の後ろの見返しにはケーキの列車が描かれている。 この絵本の各ページで繰り返される初めの部分 「でんしゃはガッタン ふみきりカンカン でんしゃはゴットン ふみきりカンカン あれあれ なんだか いいにおい」 というところにだけ曲を付けて歌うようにした。 三浦太郎の絵本はどの本も単純な構成で、しかもくり返しが多いので、絵本の台詞そのものに曲を付けやすい。すでに『バスがきました』『でんしゃがきました』『おうちへかえろ』『ポケット』『ぼうしかぶって』『おふろにはいろ』『あさだおはよう』(以上 童心社)『りんごが コロコロ コロリンコ』(講談社)『なーらんだ』(こぐま社)等に曲を付けて読んでいる。 次にKさんがクマのぬいぐるみ人形を使って「くまさんおでかけ」というお話しをした。お話しの終わったあとでクマの人形が1人ひとりの前まで行って挨拶したのだった。多くの子どもがクマとタッチや握手をしてくれた。 次に、ひきふね図書館の職員2人が行事用大型絵本の『ありとすいか』(たむら しげる作・絵 ポプラ社)を読んだ。 次は再びKさんの人形を使った「大きいワニさん小さいワニさん」。 そして図書館職員のしかけ絵本『おおきなおおきなきいろいひまわり』(フランセス・バリー作・絵 たに ゆき訳 大日本絵画)。ページをめくっていくと、絵本が大きなひまわりになるしかけ絵本で、子どもたちも大きなひまわりになったところで喜んでいた。 最後は3度登場のKさんがハンドル型のタンバリンを使ってリズム遊び「ドライブタンバリン」を歌いながら演じてくれた。 その後、子どもたちにも小さな鈴(リングベル)をわたして「しあわせならてをたたこう」を歌いながら、手をたたくところで鈴を鳴らしてもらって楽しんだ。 お話し会のあとはいつものように持って行った絵本をそれぞれ見てもらった。 参加してくれた子どもの中に1月にほわわ墨田を尋ねたときに参加してくれた医療ケアの必要な重度の障害児がおり、今年1年生になったことが分かった。 今回も出し物の中に歌や音楽が入るととても良く聞いてくれることを確認した。またKさんが行ったぬいぐるみや人形によるお話しもとても効果があることが分かった。今後の施設でのお話し会の構成の中で生かしていきたいと思う。 ところで、今回のりま訪問のあと、2020年にはいると、全国的な新型コロナウィルス感染拡大のために、高齢者施設をはじめとする様々な施設に出向いてのお話し会が全くできなくなってしまった。放課後等デイサービスなどに対してはリモートでお話し会の映像を届けることなども試みられたようだが、やはり直接対面で行うお話し会とは違って子どもたちの反応も分からないなど、お話しの楽しさをどこまで届けることができたか疑問である。今現在も施設に出向くことは困難な状況が続いている。1日も早くコロナが終息して以前のように気兼ねなく施設でのお話し会が実施できるように祈念している。
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